何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

古きを温め新しきを知るフィード

togetter.com


 たびたび言ってますが、MSXや古ゲームを趣味にしているにもかかわらず、過去のものを「懐かしい」という感傷で語るのが、荒井は本当にイヤでイヤでたまらんのです。
 温故知新というか、現代でも通じる普遍性を見いださなければ、過去のものは遺物でしかないというのが荒井の認識です。

文殊山に登ってきた

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亀岡の公民館前から見る文殊山の図

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 高い山に登ったので今度は低い山に登りたくなります。というわけで文殊山に登ってきました。
 文殊山は高畠町にある山です。標高は522m。むしろ有名な亀岡文殊の裏山といった方がわかりやすいでしょう(おい)。去年文殊堂に行った際、山に登れる散策路の存在を知り、なんとなくチェックしていたところ、夏も終わって涼しくなってきたので、だったら行ってみようとあいなった次第です。
 山と溪谷社の分県登山ガイドにも載っていたりする山ですが、どういうわけか「やまがた百名山」には入っていません。

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リニューアルされた看板の図

 登り口は亀岡文殊の駐車場です。ちょうど先日リニューアルされたばかりの案内看板のところが入り口。そこから山頂までは1時間ほどの道のりとされてます。

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登山道の様子。若干藪っぽいが道自体は明瞭です。

 低山は意外と気が抜けません。この山はどうかなと臨んだところ、やはり案の定でした。登りが急なだけではなく、粘土がむき出しで非常に滑りやすい箇所が続出します。ただでさえ非常に狭い道は、左右から覆い被さるように灌木が茂ってますます歩きづらく、その上その茂みがウルシばかりなもんだからなおさら油断ができません。ある意味こないだの鳥海山より登りづらかったぜ(泣)。

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羽山権現と愛宕神社。寂れた感が漂うたたずまい。

 山の上の方にはお堂や祠などもありますが、どちらもやけに荒廃していて、妙に見捨てられた感が漂います(おい)。案内看板に示された「獅子岩」や「胎内くぐり跡」といった見どころも、現地に表示がなくてどれだかよくわかりません。全体的に「これだ」というインパクトに乏しく地味な印象で、「懐に亀岡文殊を抱く修験の山」という恰好のキャッチコピーがあるにもかかわらず、百名山に入っていないのはそういうことなんだろうなぁとおもいました(おい)。


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 山頂から愛宕神社に至る稜線の上からは、高畠中心部・糠野目や南陽方面の眺めがよいです。暑さや茂みに悩まされる夏よりも、気候や藪が落ち着く春先や晩秋に登るのがよさそうです。


 いちおうコースタイム。


10:54/亀岡文殊駐車場-10:57/薬師堂-11:27/稜線分岐-11:31-11:38/山頂-11:41/稜線分岐-11:45/愛宕神社-11:52-11:58/置賜盆地展望地-12:02/稜線分岐-12:33/亀岡文殊駐車場

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山喜さんで腹ごしらえ。こちらにも行ってきたぜ。

いっぱい持ってるとわりとよくあること

 最近不覚をとったこと。近々登ろうとおもっている山の地図を本屋さんで買って家に帰ったら、すでに同じのが家にあった。
 まぁ、地形図は消耗品で使ってるとどんどんボロボロになるので、複数持ってても一向に構わないんだよ!と言い張ってみます(泣)

鳥海山に登ってきた

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升田地区から見る鳥海山
8月唯一の山登りは山形最高峰だ

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 気づけば8月はどこの山にも登ってませんでした。中旬以降はぐずついた天気が続き、休みはことごとく雨(泣)。このまま夏が終わってたまるかということで、8月最後の日、天気が持ちそうだったのをいいことに*1鳥海山に登ってきました*2
 あまりに有名なので詳しい説明は略(おい)。遊佐町にある山形県で一番高い山です。

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鳥海高原ライン終点。ここからあのてっぺんまで登ります

 鳥海山眺めています*3。にもかかわらず登頂したことが一度もありません。でかい山ゆえ時間を要するので、なかなか登りに行けるものでもないのです。せいぜい中学3年の学年登山で吹浦口から御浜小屋まで行ったぐらい。身近にありながら別のところから眺めては、あのてっぺんに立ってみたいと憧れる山でありました。
 ところが近年、比較的短時間で日帰りできるコースの存在を知り、ならばと決行した次第です。

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滝の小屋を過ぎ八丁坂を登る。眼下には庄内平野が広がる。

 今回登ったのは湯ノ台コース。鳥海登山最短コースとして知られます。一方で急登が多く、迷いやすい雪渓もあり、中上級者向けであるとも紹介されます。登山口は玉簾の滝で有名な旧八幡町升田地区から鳥海高原ラインを上り詰めたところ。念入りに入山ポストに登山届を投函して、朝8時過ぎに行動開始です。
 滝の小屋を早々に過ぎ、沢の中を進むような道を経て最初の難所・八丁坂へ。とはいえ火打新道に比べれば足慣らしみたいなもんです(本当かよ)。登りきると程なく河原宿に到着。山頂を望む開けた台地に水量豊富な小川が流れ、あたりは文字通りの河原です(おい)。標高1550メートルの山中の河原。鳥海山が水に恵まれた山であることをおもい知るのでありました。

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河原宿小屋の廃墟と目の前を流れる澄郷沢。
ここで芋煮て食いたいぜ(おい)

 河原のほとりには山小屋の廃墟が半分ぺしゃんこになりつつ残っています。これが「宿」のゆえんなのでしょう。この山小屋、つい10年ほど前までは営業していたのだとか。絶好の立地でありながら廃止になったことが、いまさらながら惜しまれました。

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雪渓を往く。ココヘリのお世話にならずに済んだぜ

 問題はここから。河原宿を過ぎると、道は心字雪渓にさしかかります。勾配こそ緩いものの見通しが利かないときは迷いやすいとの評判で、湯ノ台コース最大の難所とされています。へなちょこ登山者荒井、いかにここを無事に抜けるかが最大の懸案で、状態によってはここで引き返すつもりでありました。できるだけ天気がよい日を狙って来たのは、ひとえにここを安全に通過するために他なりません。

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ケルン目指して渡渉中。目印は充実してました。

 果たして。到着してみると、風こそ強かったものの周囲は曇りもなく、行く手がくっきりと望めます。さらにかなりの雪が消え、夏道が明瞭に現れていたのです。これなら行けると確信し、随所にペンキで付けられた目印を頼りに進むことしばらく、無事雪渓を抜けたのでありました。

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あざみ坂入口から雪渓を振り返る。雪がないのはいいのか悪いのか

 迷いやすいと評判の一方、雪渓は湯ノ台コースの見どころの一つでもあります。夏でも豊富に雪が残り、この雪渓歩きを楽しみにしてくる登山者も多いと聞きます。ところが温暖化の影響か、近年は雪が解けてしまうことが増えたそうで、今年はだいぶ雪渓が小さくなっていたのだとか。歩く分には迷わずに済みますが、このままでいいのだろうかという気もします。

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あざみ坂から望む鳥海湖。30何年越しでここまでやってきたんだな。

 雪渓を抜ければ、あとは道迷いの心配はありません*4。雪渓から続くあざみ坂をぼちぼち登っていくと、周囲に展望がひらけてきます。左手にうかがえる大きな水面は鳥海湖。30何年前の学年登山で拝んで以来です。振り返れば、今し方歩いてきた雪渓や河原宿がはるか下。これなら行けるぞと気勢も上がります。
 伏拝岳(ふしおがみだけ)で外輪山の稜線に上がると茂みは姿を消し、荒涼とした岩と砂の光景に変わります。知ってはいても実際に目にすると、ここも火山であることを改めて印象づけられます。外輪山に沿って東側に回り込めば、第一の目的地・七高山(しちこうさん)に到着です。

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七高山と一等三角点「鳥海山」。山形一高い一等三角点だ。

 七高山は外輪山の最高地点です。標高2229m。山頂とはまた別なのですが、ここにはぜひ見ておきたいものがありました。一等三角点です。当然山形で一番高いところにある三角点でもあるので、極点大好き人間ならば決して外せません*5
 雲やガスですっきりとはいかないものの、切れ間から眼下に山並みや平地をうかがうと、多くの一等三角点の山同様、七高山も抜群の展望であることがわかります。他の山にあてはめれば実にてっぺんらしいてっぺんで、あたりには数々の石柱が建ち並び、休憩している人も多数でした。

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外輪山から見る新山と新山ふもとから見る外輪山。
あの急峻な崖に道がある。

 山形一高い一等三角点を拝んで満足したところで、いよいよ山頂を目指します。山頂は新山と呼ばれるところで、外輪山の内側にあります。外輪山の内側に下りる道は石だらけの急斜面で、過去には死に人も出たことがあるのだとか。滑ったり転んだり石を落とさないよう気をつけながら底まで下りたら、最後の登りに取りかかります。

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新山の岩場。最後の最後に現れる。

 新山一帯は、そこだけ灰色の柱状節理が盛り上がり、ジャングルジムのようになってました。ところどころ巨岩が尖塔のように突き出す様など、これまでとは異次元レベルで違う光景です。RPGでいうならラスボスだとおもっていた敵をやっつけたら秘密の入り口が見つかって、真ラスボスのいる空間が現れるようなもんです(おい)。足場は心許なく、気を抜いたらやられます*6。さすが山形最高峰の最高所、最後までかんたんには登らせてくれません。
 この岩場の正体は、噴火による火山ドームです。200年前の火山活動で噴き出たマグマが固まり、この異空間が出現したのだとか。目印に従い岩場を両手両足を使ってよじ登った末、とうとう山頂にたどりつきました。

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新山山頂。ここが山形のてっぺんだ。

 山頂は標高2236m*7。山形県の最高地点です。永年憧れ続けた山形のてっぺん。そこに立った気分は感無量でした。その昔日本一周した際、「山形県民なら鳥海山はぜひ登った方がよい」と薦められたことがありました。あれからおよそ20年。なるほど、そういうことだったのか、とようやく確かめることができたのでありました。

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大物忌神社。吹浦にある神社の本宮がここ。

 てっぺんで即席あんパン*8の昼食にした後岩場を下り、新山直下にある大物忌神社の本宮に参拝。せっかくだからとご朱印と山頂限定販売の「百花典」こと、鳥海山の高山植物図鑑をいただきます*9。その後来た道で外輪山を登り、伏拝岳から再び湯ノ台コースをたどり、帰途に就いたのでありました。

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外輪山の光景いろいろ。天気にはそこそこ恵まれた。

 往路で急いだ分、復路は花を撮ったり双眼鏡を取り出したりと、多少のんびりしながらの道中です。この日は絶えず強風で、外輪山ではときおり白いガスが視界を隠します。それでもガスが途切れると、庄内平野や象潟方面の展望が開け、その向こうに日本海が広がりました。酒田の方に目を向けると、最上川や酒田港も見えます。月山は残念ながら雲の中。展望はすっきりとまではいきませんでしたが、それでもこれくらい拝めれば、初回としては御の字でしょう。一方で強風対策や歩き方等々、今後の山歩きの課題も考えさせられた山行ともなりました。

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湧き水で知られる釜磯の海岸と牛渡川。鳥海の恵みは計り知れない

 鳥海山がふもとに様々な恵みをもたらしている、ということは知っていて、実際にいくつか目にもしています。それでも登ってみると、そのゆえんが実感として迫ってきます。特に高山であるにもかかわらず、随所で水が得られるので水には全く困りませんでした。「水筒の要らない山」とさえ称されるのは伊達ではありません*10。火山が育んだ圧倒的な自然と恩恵。ようやく宿願を果たし、この山があることは郷土の誇りだ、とつくづく感慨を新たにしたのでありました。

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何気なく撮ったいかつい薊。チョウカイアザミという固有種だった。

 最後にいつものコースタイム。累積標高差が1100メートルくらい。登りより下りの方がたいへんです(おい)。


8:09/湯ノ台口-8:21/滝の小屋-8:37/八丁坂-9:05-9:11/河原宿-9:22/大雪渓-9:39/ケルン-10:03/小雪渓-10:14/あざみ坂-10:44/伏拝岳-10:57/行者岳-11:15-11:20/七高山-11:23/虫穴分岐-11:50-12:11/新山(昼休憩)-12:30-12:41/御室小屋・大物忌神社-12:56/虫穴分岐-13:28/行者岳-13:35/伏拝岳-14:06/あざみ坂出口-14:13/小雪渓-14:37/ケルン-14:40/大雪渓-15:06/河原宿-15:45/八丁坂出口-15:55/滝の小屋-16:07/湯ノ台口

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登山道脇で見かけた祠。
いくつもある祠は鳥海が信仰の山でもあることを物語る。

*1:朝に家を出発したとき、家の周りだけ大雨でした。

*2:いつも行ってる山辺町にある方ではありません(おい)

*3:荒井の家からも見えるんだぜ。

*4:転倒とか滑落とかの心配はあるけどな

*5:ちなみに一番低い一等三角点は酒田の飯森山

*6:途中転んで手をすりむきました(泣)

*7:山辺鳥海山の4倍以上高い。

*8:尾西の長期保存パンを割ってようかん挟んだやつ。風が強すぎて火器が使える有様ではありませんでした。

*9:合わせて初穂料1500円な。

*10:喩えであってもちろん水筒は必携ですぞ。

こうなることはもとからわかっていた

 今日は天気がよくて、わが家から鳥海山がよく見えます。
 こないだ登頂を果たしたばかりなので気が収まるかとおもいきや、やはりあいかわらずなのでありました。「どうしてこんな天気がいいときに登りに行けないんだ!」と(おい)。
 山登りの様子は明日のエントリでご紹介の予定。