何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

真・蔵王に樹氷を見に行ってきた

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 蔵王樹氷の名所であることは山形県民なら誰でも知ってることで、これまで二度ほど見にも行きましたが、なかなか天気に恵まれたことがありません。ところが先日山形に行った際、空がすてきに晴れわたっていたものだから、千載一遇の好機逃すまじと、急遽蔵王樹氷見物に行ってきたのでありました(おい)。

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三密対策で増便・定員減・除菌換気励行等対策の上運転中。

 樹氷原がある地蔵山には観光ロープウェイが開通しています。やはりスキーシーズンのまっただなか。新型感染症の影響で大都市圏では緊急事態宣言が出ているにもかかわらず、人出はそれなりにありました*1。現在はスキーの方が人気なのか、ボードよりもスキーを抱えた客の姿が目立ちます。
 加えて前より増えたのがスノートレッキング目当てのハイカー。山登り用のザックにスノーシューをぶら下げているので、一目でそれと判ります。冬場の外遊びとして人気が出てきたんだな。
 さておき、蔵王ロープウェイ感染症対策として、便数を増やして一台あたりの乗員数を減らすとか、運転中は窓を開けて換気に努めるといった対策を講じた上で運行しています。山麓から山頂まで、一度樹氷高原駅での乗り換えが必要なのは変わらずです。
 運賃は往復で大人一枚3000円。いつの間にやら値上げしてやがりました(泣)。

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ロープウェイからこんにちは。奥に鳥海が見えて大興奮。

 今回はこれまでとは全く異なる風景が広がってました。ロープウェイからは蔵王のスキー場や霧氷で太った木々が眼下に広がります。目の前にはこれから向かう地蔵山、はるか遠くには鳥海山さえ浮かび「もしかして、これは相当にいいなんねが?」と期待が膨らみます。


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 果たして、山頂駅付近は抜けるような青空。雲一つ無い快晴でした。夏を含めてこれまで何度か来た中で最高の天気に最高の見晴らし。過去2回の樹氷見物体験を覆すような光景です。蔵王ってこんなに晴れるのか(おい)。あたりではハイクやスキー・スノボで登ってきた人々も、口々にこの眺望を褒め称えていました。


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 快晴を恃んで地蔵山のてっぺんまで登ってみると、言葉を失いました。そこにはまさに観光ポスターにあるような青空と樹氷の展望が広がっていたのです。
 中腹の木々は全て霧氷を着込んだ樹氷の森。目の前には熊野岳がその頂をくまなく晒しています。
 西は月山葉山に朝日連峰、南は飯豊に吾妻に置賜の盆地、東は雁戸山に宮城の平野、北は瀧山、二口山塊に船形連峰、果ては栗駒山鳥海山*2。これらの山並みが真っ青な空の下にこの上も無くくっきりと浮かび上がり、それら山々に囲まれた山形の盆地は雪化粧を纏っています。自分が住む郷土はかくも美しかったのか...!
 飽きもせずいつまでも眺めていられます。こんな絶好の天気は、やはりシーズン中そう何度もあるものではないのでしょう。さらにその好機を掴める機会など一生に何度あるかどうか。己がこの幸運をつくづく噛みしめたのでありました。
 ところで氷点下8度のところでミクロンを取り出すと、指先があっという間にかじかみます。金属外装のせい(おい)。


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 絶景に地蔵山の山頂付近が沸き立ち、荒井がのほほんと風景を賞美している中、熊野岳付近では防災ヘリが慌ただしく周回していました。
 この数日前に富山から来た登山客が熊野岳近辺で遭難し、捜索活動が進められていました。冬の蔵王は荒天の日が多く、まともに周囲を見渡せないのがあたりまえです。おもえばその荒天が樹氷を形作っているのですから、こんな晴れ渡る日の方が珍しいのです。


 自分が初めて樹氷を見に来たときは、自分が樹氷にされそうなほどの猛吹雪でした。ワサ小屋跡にはいくつかの遭難者慰霊碑が建っています。地蔵山のお地蔵さんは、遭難者を弔うためのものでもありました。
 遭難された方は、残念ながら、この日に仏さんとなって発見されたそうです。少しだけ時期を遅らせれば、彼もこの絶景を拝んで何事もなく下山できたかもしれないのに...
 樹氷の美しさとは、厳しい自然と表裏一体のものであることを忘れてはいけません。犠牲者の方のご冥福をお祈りします。

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樹氷高原駅にて。バートンがこのスノボ出したら俺スノボ始めちゃうね(おい)

*1:数年前、やはり快晴の日に様子を見に行ったことがありました。そのときは春節の影響か、ロープウェイ山麓駅のところに長蛇の列がとぐろを巻いていて、登るのをあっさり諦めました。それに比べれば、このときの人出ははるかに落ち着いてました。

*2:山形県内の百名山六座全てを拝める山は葉山だけではなかった!