気付けば今年は春先に三瀬八森山に登って以来、ドタバタやら熊やらで全く山に登っていません。それでこのままどこにも登らずにたまるかと、瀧山に登ってきました。瀧山は先日下見に行ってきたという蔵王温泉の裏山です。標高は約1362m。古くから信仰の対象となってきた、西蔵王を代表する山です。山形の市街地からも近くてよく見えるので、市民の山として親しまれています。
今回のルートは、蔵王スカイケーブルコースと瀧山ゲレンデコースを廻って、また温泉街に戻ってくるというもの。スカイケーブルコースを使う際、ロープウェイで蔵王中央高原まで行くのが一般的らしいのですが、今回は費用と歩き応えの面から、上ノ台ゲレンデを歩いて登っていくことにしました。スタート地点はジュピアです。
9時半少し前にスタート。いきなり上ノ台ゲレンデの急登が待ち受けます。その高低差約300m。コンクリート舗装の作業道をなぞっていくだけながら、九十九折りはなく、一気に斜面を登り詰めなければなりません。予想はしていましたが、まぁ急だ。焦って登ると息切れするので、歩幅を小さくしてのろのろと登っていきます。登り切るまで約40分少々。道中、ここが一番ハードでした(おい)。
スカイケーブル中央高原駅・蔵王大権現堂前に出たのが10時5分頃。登山口はスキーのゲレンデと一緒になっているのでずいぶん広くなっているのですが、ゲレンデは少し進んだところで行き止まりで、一瞬道を見失いかけました。
よく見てみると標識とともに、ゲレンデの途中から細い道が分岐しています。これが登山道でした。本格的な山道はここからです。
登山道は瀧山に連なる尾根道です。大半は灌木のトンネルのような区間ですがときどき茂みが切れては、ぼちぼちふもとや周囲の山々が見えます。高低差こそ比較的少なく、初心者向けルートとはいうものの、足下が悪いところもちらほらとあります。
10時40分くらい、大権現堂前から35分ほどで、地形図でいう1252mの小ピークに到着。これから歩く稜線と山頂が一望できました。
小ピークから鞍部を一つ越えると急登となります。この区間にはゴロゴロした岩に手をかけながら登るようなところもあり、瀧山が古い火山であることを思い出させます。
しかし一番苦労したのは、踏み固められた泥で滑りやすくなっているところでした。ロープ等はなく、灌木を掴みながらなんとか登りましたが、途中足を滑らして、2~3メートルくらいずり落ちそうになりました。初心者向けでも油断はできません。山が山なら死んでます(泣)
かくて11時30分に山頂到着。荒井の足でジュピア前からだいたい2時間、権現堂前から1時間25分といったところでしょうか。一角には斎藤茂吉の歌碑があり、東側にはそのとおりに笹谷峠と雁戸山が、地蔵岳を経て熊野岳に連なっているのが見えます。いつも足下から眺めている笹谷峠の鉄塔や八丁平を遠くに見下ろすのは、なかなか新鮮な体験でした。
眺めがよいという評判どおり、山頂からは四方に展望が開けます。山頂の神社を挟んで反対側に廻ると、今度は蔵王や山形の市街地がよく見えました。雲が多めの空ながら眺望には恵まれまして、葉山はもちろんのこと、月山や鳥海山さえ見えます。村山地方であっても、空気が澄んでいないと月山は見えませんし、鳥海山に至ってはよほど条件がよくないと見えません。どうやら荒井はなかなかいいときに来たようです。
眺めのいいところでカップ麺でも喰おうぜと神社の前に陣取って用意していると、箸を持ってこなかったことが発覚(汗)。仕方ないので湯を注いで待っている間に、そこらに落ちていた小枝を削って箸をこさえてなんとか喰ってやりました。オピネル持ってて良かったぜ。
買い置きの謎肉祭を貪ってから、12時15分に山頂を出発。ここからは瀧山ゲレンデに向かってひたすら下っていくことになります。温泉街から見てのとおり、瀧山の南斜面は赤っぽい岩肌になっています。急な岩場が続くというので、あんなところを下っていくのかとか、鎖場が連続するのか岩登りをするようなところが現れるのかとハラハラしながらの道中でした。
瀧山ゲレンデコースも、温泉街やスキー場の眺めがよいところや、岩肌を間近に眺められるところなど、景観に恵まれてまして、このルートの売りとなっているようです。
ちなみに瀧山は人気の山であるはずなのですが、山頂で保育園の遠足の一団に会ったくらいで、それ以外は誰とも遭遇しませんでした。
さいわい、危ぶんでいたようなタフなところはなく、無事スキージャンプ台前まで出てきたのが13時少し前。再びジュピアに戻ってきたのが13時過ぎで、休憩込みで都合3時間半ほどの山歩きでした。
山形は久々の晴れ模様ながら、気付けばすっかり冷えこみ、日も短くなっていました。山歩きが楽しめる時期は残り少なですが、紅葉もありますので、隙あらば年内あと2~3座は登っておきたいもんです。