何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「ミッドナイトコマンダー」




 ほぼ一月ぶりのプログラムネタ。当然毎日少しずつ入力はしていたのです。「雪の魔王編」のネタ作りとテストプレイの面倒さゆえ動作確認が遅れてただけ(おい)…というわけで本日もログイン86年10月号より「ミッドナイトコマンダー」です。
 本作は元々、1983年7月にマイクロキャビンより発売されたFM-7シリーズ用SLGです。今回ご紹介するのはそのMSX移植版。当初市販されていたソフト*1のソースリストを、マイクロキャビンがログイン誌のプログラムオリンピック向けに、太っ腹にも公開してくれたのがこちらであります。

開戦直後。まずはだましだまし移動しながら敵の出方を探る。

 プレイヤーは司令官。自国の艦隊を率いて、敵国に勝利するのが目的です。勝利条件は二つ。敵艦隊の殲滅。または敵司令部の陥落です。逆にこちらが全ての艦船を失うか、司令部を落とされると負け。当然敵国も艦隊を差し向けこちらに攻めてきますので、応戦しなければなりません。
 各艦船にはそれぞれ耐久力・攻撃力・機動力・射程・索敵範囲が設定されています。その特性をよく把握して船を動かすことが、勝利への第一歩です。

敵航空隊発見! レーダーを活用して敵を見つけよう。

 本作一番の特徴は、敵が見えないことです。なんでも「真夜中の艦隊戦」という設定なので敵が見えないとのこと。かわりにどうするかというと、レーダーを使います。登場するユニットには全てレーダーが搭載されており、これを使うことで敵を発見して位置を特定することができます。発見したら位置を指定して攻撃。距離が近いほど命中率が上がりますが、こちらが被弾するリスクも上がるので注意が必要です。
 プレイヤー側が攻撃・移動のどれかをすると、ターンが終わります*2。しかしレーダーは使い放題です。レーダーで敵をいち早く発見するのが、勝利の鍵です。

駆逐艦被弾! 見えない敵からの攻撃に緊張が走る

 飽くまでマイコン時代のSLGゆえ、その後のSLGに比べれば、内容は貧弱です。プログラムはオールBASIC。容量的にも、それほど凝った思考ルーチンは組めなかったでしょう。展開が乱数にてきめんに左右されるところなども、いかにも当時のマイコン用ゲーム。なかなか弾が当たらないので、こちらの艦も失うものの、通常の3倍のダメージを確実に与えられる特攻戦法がわりと有効だったりして(おい)。
 レーダーを頼りに見えない敵と戦うというアイディアは、思考ルーチンの貧弱さを補うための工夫だったのかもしれません。しかしこのアイディアが独特の緊張感を生み出し、ゲームの魅力となっていることは確かです。

残る敵艦は巡洋艦のみ。こちらも巡洋艦で特攻だ!(おい)

 さて、冒頭で述べたとおり、本作は元々市販されたゲームでした。市販ソフトのソースリスト公開は、当時のパソコン雑誌ではしばしば見られることでありました。入力の手間を惜しまなければ、格安で市販ソフトと同じものを手にできたのですから、お金はなくとも暇はたくさんあった当時のマイコン少年達にはありがたいサービスでありました。プロの作ったものでも個人で入力できる程度のスケールだったからこそ、可能なことだったのかもしれません。

敵の艦船を道連れに特攻を繰り返した末勝利。
戦争はむなしいぜ(おい)

 ところで、この作品はリストに印刷不明瞭なところがあります。9530行、地形グラフィックの座標データ部分が一部非常に読みづらくなってるんですが、自分は以下のように入力しました。


*1:MSX版の発売は1983年12月。MSXの市販ソフトでは最初期に近いです。

*2:これが貧弱な思考ルーチンに対して人間が背負うハンディキャップともなっている