何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

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 たびたび当blogでネタにしてますが、荒井は万年筆を愛用しています。使いはじめて今年でちょうど20年、そんなわけでなれそめの与太話を少々。字はヘタクソなんですが(泣)。


 万年筆に手を出したのは大学4年のとき、就職活動で履歴書を書くためでした。当時はコンピューターで履歴書を作るという時代ではなく、手書きの提出書類がまだ幅を利かせていた頃。安物のボールペンではさまにならないから、それなりにいいペンも一本ぐらい持ってたほうがよかろうと、荒井青年はおこづかいを握りしめ、当時住んでいた盛岡にある川徳に行ったのでありました。
 それなりにしっかりしたものをということで、当初はパーカーの1万円くらいのを買うつもりでした。当時読んでた「週刊文春」に広告が載っていて、カッコイイと思ってしまったのがパーカーにしようと思った理由です。だってあの矢羽根マークカッコイイじゃないか(おい)。
 しかしためしがきをしてみると、パーカーはやけに書きづらいものでした。万年筆は筆圧をかけずに書けるというわりに、さっぱりインクが出ず、思ったように書けません。てなわけでパーカーはあっさり却下。かわりに隣に置いてあった同じ価格帯のペンをためしたら、そちらの具合が非常によかったので、そちらを購入することとなりました。


 荒井は書くとき手に余計な力が入ってしまうので、ボールペンで文章を書いているとすぐ手が痛くなります。それが筆圧をかけずとも書けるもんですから、こっちの方が書きやすくていいなと、日常的に万年筆を使うようになりました。


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 以来20年、落っことして尻軸がもげたり胴にヒビが入ったりで修理に出したりしましたが、ペン先はまったく問題なく、使い続けて現在に至ります。それが今でも使っているパイロットのいちばん安いやつ、カスタム74のBというわけです。
 さいわい字が下手なので、いまのところ沼に嵌まらずには済んでいるのですが、もっと細い字が書ければとか、別の色を使いたいとか、一太郎の景品でもらったとかで、それでもその後4本増えました(おい)。


 書き味。デザイン。所有欲。万年筆のよさはいろいろありますが、荒井が特にいいなぁと思うのは、長持ちしてなお陳腐化しないところです。
 ボールペンやフェルトペン等は、すぐにペン先がダメになってしまいます。さらにインクが切れたらそれっきり*1。それに比べると万年筆はすごい保ちます。インクはいくらでも詰め替えできますし、手入れさえしていればペン先が不調になることはまずありません*2。乱暴な扱いに耐えうるほど頑丈ではありませんが、いくら書いてもへこたれませんし、丁寧に扱っていれば20年は平気で保つのです。
 デジカメやコンピューターといったデジタルモノや家電品が、高級機でさえ数年程度で劣化・陳腐化して買い換えが必要になるのに比べれば、1万円程度のモデルでも手入れさえよければ一生使える万年筆のコスパは抜群(おい)。手入れしながらいいものやお気に入りが末永く使える喜び。Fountain penを「万年筆」と訳した人*3はうまいこと言ったものです。


 というわけで実用品として万年筆は非常に重宝しているのですが、その割に字はまったく上達していません(おい)。


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 ...とかなんとかいいながら(おい)。そのつもりはなくとも、沼に嵌まりつつあるらしいぜ...(泣)


 ちなみにあらかたパイロットなのはインクが使い回せるから(おい)。

*1:リフィルを取っ替えればいいじゃないかという指摘はこの際黙殺(おい)。

*2:不調になっても治せる場合が多い。

*3:萬年筆という言葉を広めたのは内田魯庵らしいです。