何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「THE CASTLE OF UDO」

アロとUDOが交差するタイトル画面。実はこの動きには意味があったりする。

 解くのに時間がかかるゲームプログラムは、やはりネタにするのも時間がかかります。というわけで先日動作確認が終わったMSX用プログラムのご紹介。本日はベーマガ86年10月号より「THE CASTLE OF UDO」(ザ・キャッスル・オブ・ウドー)です。


 一言で説明すれば、15パズルと迷路ゲームを合わせたようなアクションゲームです。15パズルは当時のゲームプログラムでもおなじみ、パネルをスライドさせて解くパズルですな。ストーリーは王道中の王道、悪い奴に捕まえられたお姫様を救いに行くというもの。シャルム王国の王女・アイリスが悪魔UDOにさらわれてしまいました。疾風の神の使者・アロを操り、UDOの城に囚われた王女を救い出すことが目的です。

ゲームスタート。全てのプレートを踏破して迷宮を青く染めよう。

 各ステージは壁が描かれたいくつかの「プレート」で構成されています。壁があるところは当然通れません。基本的にはこのプレートを全て踏破すればステージクリアとなります。一度載ったプレートの壁は、赤から青に色が変わります。全部青にすればいいということなので、見た目にわかりやすいです。
 しかし各面、敵としてUDOの分身が出現します。そのままこいつにぶつかるとワンミスです。また、各面には時間制限があります。残りタイムが0になってもワンミスですので、うかうかしてはいられません。残機が0になったらゲームオーバー。全7ステージをクリアして、王女を救出しましょう。

ステージ1クリア! スライドのギミックが気持ちいい

 ステージ開始時の状態では、壁によってところどころ通路が断ち切られています。そのままでは全てのプレートを踏むことができません。そこでどうするか。プレートの先に空白があれば、上に乗ってその方向にスライドさせられます。これで随時プレートを動かし壁の位置を組み替え、道を作りましょう。同一方向であれば、複数枚をまとめてスライドさせることも可能です。
 また、スライドは攻撃の手段でもあります。プレートのスライドに敵を巻き込むと*1、ダメージを与えられます。攻撃を繰り返して敵の体力を0にすれば倒すこともできます。
 敵を倒そうと手近なプレートを動かしたら、動かせないところに押し込んでしまって、道をふさいでしまうこともしばしば。こんな具合に考えなしにプレートを動かしていると、容易に詰みます*2。アクションゲームであるとともにパズル要素も多分にあり、ハマらないよう立ち回ることが、プレイには不可欠です。

パネルをスライドさせて敵を轢く。重要なテクニックだ

 本作は全体的に完成度が高いです。このプレートを動かして道を作るという仕掛けがとにかく秀逸!*3。自分で迷路を歩き回る面白さに加えて、ルービックキューブのような玩具を弄る楽しさが味わえます。弄って楽しいことは、コンピューターゲームの面白さにおいて、絶大なアドバンテージたりえます。
 さらに本作に深みを与えているのは、一筋縄ではいかない謎解き要素です。本作には様々な謎が隠されており、これを解かない限りオールクリアは不可能です。
 ゲームシステムはよく出来てますし、内容もまとまりが良いです。グラフィックも悪くありません。動作速度と操作性は必要十分で感触良好。さらに謎解きを盛り込むことで、単純なパズルアクションゲームとはひと味違う作品に仕上がっています。

プレートを動かすだけで満足するならよいのだが…
クリアを目指せば不条理な難易度が牙を剥く

 ただし。80年代中盤の常識と言うべきか。難易度はかなり高いです。ただプレートを動かして遊ぶだけなら楽しいおもちゃのままですが、正攻法でのオールクリアを目指した途端、その先には茨の道が待ち受けます。


 難しい要因はいろいろあります。中でも特筆すべきは、謎解きの難解さでしょう。
 概して本作は、説明が少ないです。実はプログラムには失敗時のギブアップ機能や、ゲームオーバー時のコンテニュー機能が実装されています。しかし誌面の紹介文も作中でもその存在には一切触れておらず、飽くまで裏技扱いのままです。
 ましてや謎の解き方はノーヒント。紹介文で「UDOを倒すのに有利になるアイテムがどこかの面に隠されている」と示唆されるのみで、それが具体的にどういうものであってどうすれば出現するか等の手がかりや情報は、全く言及されません。プレイヤーが試行錯誤して見つけるしかないのです。

無敵アイテム登場。出現条件がややこしい!

 本作が掲載された1986年とは、難解なコンピューターゲームがまだ許された時代でした。不条理な謎解きで知られる「ドルアーガの塔」はまだまだ大人気でしたし、ベーマガを初めとするパソコン雑誌にも「ドルアーガ」を意識したオリジナルゲームが数掲載されたものです。「ジーザス」「イース」の登場は翌年のこと。ゲームは理不尽に難しいことが当たり前。制作者は不条理な謎を仕込むことに何の疑問もなく、プレイヤーも疑うことなく受け入れていたという時代でした*4
 謎の解き方を明かそうとするなら、リストを読むのが最も手っ取り早いでしょう。実際荒井はそうでもしないと解き方がわからなかったのですが(おい)、これはゲームプログラミングが当たり前だった80年代の打ち込みプログラムだからこその「攻略法」です。作品としてみた場合、ソースリストを読めというのはあまり褒められた解き方ではありませんし、良いヒントの出し方でもないとおもいます。


 ある意味不親切な、プレイヤーを突き放した仕様からは、「ドルアーガ」の影響と当時らしさが感じられます。自分はリストを読むのも含めてなかなかおもしろく取り組めましたが、この不条理さゆえ、そのままでは現代には通用しないだろうなともおもいます。

ステージ5。簡単そうだからといってすぐにクリアすると…

 ちなみに本作の謎解きは、主にアイテムの出し方と、ラスボスの出現条件に関するものです。ヒントがないからここで条件を晒しときます


 登場するアイテムはふたつ。無敵化とタイムエクステンションです。無敵化は体当たりでUDOに攻撃できるようになるというもの。タイムエクステンションは、1ステージにつき1回だけ、タイムが0になっても1000に戻るというものです。
 無敵化は基本、各面に1回出現します。出現条件は、残りタイムが600になったときに、アイテムが出現する所定の座標にプレートがないこと。所定の座標はステージとスコアによって変わります。フィールドをプレートを敷き詰めた6x6のグリッドに見立てると、Y座標はステージナンバーと同じ段です。X座標は少々ややこしいですが、だいたいスコアの百の位の数字よりひとつふたつ隣の列です*5。百の位が「6」を超えると出現しません。取るためには、タイミングに合わせたプレートの移動や、スコアの調節といった作業が必要です。

タイムエクステンション出現! これがあっても打倒UDOは至難の技

 無敵化を取ると、敵を倒すのがかなり楽になります*6。ただし有効なのは残りタイム200まで。次のステージに持ち越すことはできません。敵の居場所までの道を作るのに手こずると、時間切れで活用できないなんてことになるので注意です。
 もうひとつ、タイムエクステンションはステージ5にだけ出現します。条件は同ステージでUDOを9回倒すこと。条件さえ満たせばプレートの有無に関係なく出現するので、無敵化よりもはるかに取りやすいです。こちらは以降の面に持ち越せます。

とうとうUDO本体が現れた!…正攻法で倒せるのかよ!!(泣)

 オールクリアのためには、ステージ6に出現するUDO本体を倒さなければなりません*7。本体出現の条件は、ステージ6でUDOを11体倒すこと。それだけでもハードなのに、なんと本体の体力は驚異の5000。無敵化やエクステンションを手に入れても、よほど効率よく動けないと、対面することも叶わなければ倒すことも叶いません。もしかでなく、間違いなくドルアーガより強いんでないか…
 荒井はリストを読んで解法を知った上、さらにエミュレーターのステートセーブ機能を駆使してもクリアできず、結局リストを改造してエンディングを見てやりましたとさ(号泣)

王女を助けるだけの最終面。まだ正攻法で解けてない(号泣)

 それとは別に、プログラムにはバグのような症状が散見されます。ミス時に音が鳴りっぱなしになったままプログラムがフリーズすることがあります。実機や他のエミュレーターではどうか不明ですが、blueMSXではしばしば発生します。おそらくアロの色を点滅させる処理にVPOKE命令を使っているのが原因らしく、該当処理をPUT SPRITE命令で書き直してみたら、動作が安定しました。

バグの修正方法とまちがえやすそうなところ。どうぞご参考に

 他にもPLAY文のMMLが、アルファベットの大文字小文字が入り交じっていて判読しづらいです。「1」と「l」を間違えやすいので、これもスクリーンショットを出しときます。
 それとスコアは整数型変数で管理しています。高得点を獲得してクリアすると、クリアボーナス獲得時に数値が上限値32767を突破して、Overflowで停止する可能性があります。変数SCとHSには「!」を補って、単精度実数型にしといたほうが無難でしょう。
 なお、アイテムのグラフィックは、どちらもアロのスプライトを使い回しています。初めて見たとき、これはバグかとおもいました(おい)*8

最後にコンティニュー成功画面。
デフォルトのハイスコアを更新後、あるタイミングでスタートすることが条件だ。*9

*1:厳密にはスライドによって自分が乗っていないプレートの壁で押し潰すと

*2:ところで手詰まりに陥ることを「詰み」と呼ぶようになったのはいつのことなんでしょう

*3:パネルを動かして道を繋げるというゲームは、すでに自作ゲームプログラムでも数ありました。でもその多くは脱線せずに何かを誘導することが目的の「チクタクバンバン」の亜流とも呼ぶべきもので、迷路ゲームの面白さまでは備えていなかったようにおもいます。

*4:無論、真っ当に解けるゲームを作る製作者さんは当時も存在しましたし、理不尽なゲームに疑問を抱くプレイヤーも存在しました。それらが主流となるのはもう少し後のことです。

*5:厳密にはスコアの百の位と十の位を取りだしこれを2桁の数字と見做し、それを10で割った商を3倍した上、4を足した位置

*6:具体的には体当たりで敵に20のダメージを与えられるようになる。

*7:というか本体を倒さないかぎりステージ6がクリアできない。

*8:ベーマガの目次では「かぶ、リンゴ、チェリー。隠れキャラがいっぱいのメイズゲーム」というあおりが付いているが、掲載されたリストにはそれらのキャラクターデータは存在しない。編集部の手違いで、間違ったリストを載せてしまったのかもしれない。

*9:ちなみにギブアップはCAPSキーです。