何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

北石橋に行ってきた

まずここまで来るのがけっこうたいへんです。

GR III。PhotoShop Elementsで縮小


 というわけでこないだ、かねてからの懸案だった北石橋(きたしゃっきょう)に行ってきました。
 北石橋は二口渓谷にある奇勝です。二口屈指の奇景として知られていますが、大東岳*1の山深いところにあるため、おいそれと見に行くことができません。
 先日東岳に登った際は、標高1000m近辺の紅葉が盛りでした。あれから一週間以上経ってそろそろ谷が見頃になるんでないかということで、やはりよく晴れた十月の末日居ても立ってもいられなくなり、毎度おなじみ二口峠に足を運んだのでありましたとさ。

駒止の滝。比較的行きやすくて見応えあるのでオススメです。

 北石橋に行くルートはいくつかあります。今回は現在最も容易であろう*2、大東岳裏コースを経由するルートを歩いてきました。裏コースはこないだ下見済みですから(他に比べて)不安が少ないです。朝の9時前に本小屋の登山口を出発し、前回素通りした駒止の滝や裏磐司など見物しつつ、数々の難所を乗り越え、11時前に北石橋分岐に到着。ここから樋の沢小屋に向かう道を離れ、いよいよ北石橋へと向かいます。途中鉛筆を落とすこともなかったぜ(おい)

大行沢を渡る。沢歩きしても楽しいだろうな。

 分岐するとさっそく大行沢を渡ります。橋の類いはなく、渡渉しなければなりません。さいわいナメ沢で水量も少なく、浅いところを選べばただのトレッキングシューズでも問題なく渡れました。
 ナメ沢は二口の特徴とも呼べる渓相です。特に大行沢は「天国のナメ」とも称される沢登りの名所でもあります。対岸の森の紅葉は最高潮。これはいい時期に来たぜとどんどん進んでいきます。
 ちょっとした急登を乗り越え平場を進むと、やがて急な下り道が現れます。ここを下りきった谷底に、目指す北石橋がありました*3

北石橋。まさに二口山塊の最深部といったおもむき。

 北石橋とはその名のとおり、橋のようになった大岩です。大岩の真ん中に穴が開き、そこを滝が流れてます。二口山塊の山奥にこんな大岩があったのかと呆気にとられるほど大きく、橋というより洞門といった方がぴったりきます。穴の大きさは目測高さ5メートルほど。大人が余裕でくぐれます。現物を目の前にするとその存在感と迫力にただただデケぇデケぇと圧倒されるばかりで、それ以外の言葉が出てきません(語彙力)。
 晩秋を目前とした時期、紅葉した木々が周りを彩ります。雪解け後や新緑の時期も見事なことでしょう。





 念願の北石橋をまぶたに収めたところで、登山口に向けて来た道を引き返します。今回は復路も裏コースを歩くため、帰りも気が抜けません。こわごわとおどけ坂や滑床沢を越え、ケヤキ沢を渡り京渕沢まで戻ってきたところで一安心。裏磐司展望台のベンチに腰掛け昼休憩にした後、無事本小屋の登山口に帰還したのでありました。

この日の紅葉。「最高ですね!」「まったく!」

 あたりの森は先日よりも紅葉が深まり、赤や黄色が鮮やかに色づいています。そういえば往路でわくわくしながら歩いていると、後ろから来たトレイルランナーが「最高ですね!」とあいさつしながら荒井を追い抜いていきました。そんな言葉があいさつになるほど、この日は最高の天気と最高の紅葉に恵まれたのです。

北石橋を正面から望む。季節や道を変えてまた行きたいぜ。

 北石橋も、二口峠に出入りするようになって以来、永らく気になっていた場所でした。ところが当初は自分がこんな山奥に行けるだろうか、行くことなんてできるんだろうかと全く自信がありませんでした。それから周囲の山々に登ったり、下見をしたりと、着々と行動を重ねた結果、今や十分行けるという確信を得るに至り、とうとう憧れの地にたどり着くことができました。

おどけ坂付近から見る三方倉山。家に帰るまでが山歩きです。

 しかし二口山塊をすっかり知ったという実感はいまだ全くありません。他の道はどうだろうとか、別の季節に行ってみたらどうだろうとか、歩けば歩くほど、次々に新しい興味が湧いてきます。やはり磐司磐三郞にはまだまだ遠く及びませんな。


 例によってコースタイム。ピークこそ目指しませんが、歩くなら相応の山装備が必要です。


8:55/本小屋登山口-9:13-25/駒止の滝-9:40/雨滝-9:54-10:03/裏磐司展望台-10:07/京渕沢-10:19/ケヤキ沢-10:28/滑床沢-10:32/おどげ坂-10:50/北石橋分岐-11:13/姥楢-11:24-11:49/北石橋-12:00/姥楢-12:19/北石橋分岐-12:41/滑床沢-12:50/ケヤキ沢-13:01/京渕沢-13:07-13:42/裏磐司展望台-13:52-55/雨滝-14:10/駒止の滝-14:35/本小屋登山口

いつもの締め。アップルパイジェラートうまいぜ

*1:厳密には糸岳付近を原頭とする沢筋

*2:石橋峠は廃道で、望洋平からのルートは整備が行き届いておらず危険という噂

*3:あっさり書いてるが、登山口からここまで二時間半かかったぜ。