歳を取ると、ゲームプログラムを入力するよりも遊ぶ方が、遊ぶよりもレビューを書く方がたいへんになってきます(おい)。というわけで本日はポプコム85年9月号より「地底探検飛行」。プログラムはだいぶ前に入力完了してたんですけど(号泣)。
某所で古代文明の遺跡の洞窟が発見されました。中には金塊が多数眠っています。しかし洞窟は崩れやすく、車や足では侵入できません。そこで投入されたのがヘリコプター(おい)*1。足よりもっと地形に負担かけるだろという気がしないでもありませんが、とにかく、ヘリコプターで洞窟内に侵入し、金塊をかっさらってきましょう。
1面はいわば「チュートリアル」です。まずはここでゲームのあらましに慣れましょう。
地面を良く見ると、黒い点が散らばっているところがあります。そこが金塊のありかです。その上に着陸すれば回収できます。一度に回収できる金塊は1個だけ。拾う度画面右上に移動して、下ろしてこなければ次が拾えません。御室小屋の荷揚げヘリも、何度も大平と往復してたしな(おい)
加えて洞窟内にはエイリアンが棲息しています。離れている分には何のアクションもしませんが、近づくと動き出して発掘の邪魔をしてきます。ぶつかれば当然アウト。こんな時のためにヘリコプターはミサイルを詰んでいますので、これで撃退してやりましょう。ただし撃てるのは各面5発まで。射程は短く、さらに金塊を抱えていると撃てません。エイリアンに命中させるためには、うまくおびき寄せて間合いを詰めたところで発射するといった技が必要です。
各面5個の金塊を回収すればステージクリア。次の面へと進みます。
ゲームはここからが本番です。本作のコンセプトは「画面を見せないゲーム」。2面以降は視界が狭まり、ヘリの周囲のわずかな範囲しか見えなくなります。当然通路も金塊もエイリアンも、近づかなければ見えません。ただし1面で学んだことを応用すれば、敵や金塊の位置を特定することは十分可能です。状況によっては、敵の習性を利用して適当なところにおびき出し、一気に引き離して置き去りにして移動の安全を確保するといった機動も必要になります。手探りで洞窟を進んでいきましょう。
はっきり言って、造りはあんまりよくありません。当たり判定やミサイル発射判定のバグが目に付きます。また、マップは変化に乏しく、3面以降は同じ事の繰り返し*2。ゲームの単調さは否めません。
こんな具合にゲーム自体はまだまだ作り込む余地があるといった感触ですが、見事なのは「手探りの恐怖」「見えない敵と対峙する緊張感」をしっかりと実現しているところ。わずかな視界から得られる情報をフル活用し、見えない画面内の様子を想像して行動することが攻略の要というゲームデザインが素晴らしいです。「画面を見せないゲーム」というコンセプトが非常によいだけに、もう少し丁寧に作ればもっと面白くなったのに!という惜しさを感じます。
ところで、本作のプログラムはなかなか変わっています。メインリスト中にマシン語モニタルーチンが組み込まれているのです。
通常、デフォルトのMSX本体には、マシン語モニタこと、マシン語を入力するためのソフトウェアが付属していません。ですのでマシン語プログラムを入力するためには、どこからかモニタプログラムを調達してこなければなりません*3。ふつう、マシン語リストを含むMSX作品が掲載される場合、モニタプログラムも同時に掲載され、入力の便宜を図っているのですが、本作ではゲームプログラムそのものの中にマシン語モニタプログラムが含まれていて、これでマシン語リストを入力してくださいと指示しているのです。
さらに入力後のプログラムをセーブするための処理も、プログラムの末尾に記述されています。セーブばかりかベリファイ機能まで付いているという徹底ぶり(おい)
どちらの処理もRUN命令ではなく、BASICのコマンドラインからGOTO命令で該当する行番号に直接飛んで実行するようになっています。製作者さんは親切のつもりでこういう処理を作ったのかもしれませんが、どちらも決して使いやすいものではなく、手持ちのモニタプログラムや命令直打ちの方が格段に使い勝手がいいので、結局どちらの処理にもお世話にもなりませんでした(おい)