何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「CAPLE」

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また一本プログラムを打ち終えたのでご紹介。今回はMマガ85年5月号掲載のアクションパズル「CAPLE」です。
 作者はおなじみ高原保法さん、拙サイトでも何度か話題にしている「ミッドナイトチェイス」や「ジャンケンクエスト」等の名作を作った方。発表された彼のMSX作品では初期のものにあたるでしょう。
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 余命二ヶ月の恋人を救うため、奇跡を起こす神様に会いに行くといったストーリーがあるのですが、要はフラッピータイプの固定画面アクションパズルです。主人公キャップル君をうまく操り、神様ことボールマンをゴールの上に導くのが各面の目的です。ただしそこは高原さん、ただのフラッピー風パズルではありません。キャップルとボールマンは基本的に静止できず、常に動きっぱなし。何かにぶつかると進行方向が変わります。


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 タイミングを合わせれば、頭の上にボールマンを載せて運んだり、逆に載って踏み台にすることもできます。ボールマンをゴールに導くには、こうしたテクニックが随所で必要です。どちらも任意に止まったり止めたりできないのが曲者で、うまく運ぶにはとにかく動きを読んで、タイミングを合わせなければなりません。ステージ数は当時の読者投稿ゲームでは破格の全40面。どの面も解きごたえ十分の難問揃いで、先に進むほど難しく、高度なテクニックが要求されます。よくこれだけの面を作ったもんだというかさすが高原さんというか、自力では20数面まで行くのがやっとでした。


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 キャラクターの小ささ、操作性の悪さ、シビアすぎるタイミング等々、不満な点はいくつかあるものの、仕上がりはおおむね出来のよいパズルゲームと言って良いでしょう。初期の作品ゆえか、作りの粗さこそ目立つものの、シンプルさと凝ったステージ構成に、後の「ブラッドアーマー」や「地底大冒険」に通じる高原作品らしさを感じます。そしてリストの読みやすさはこの作品でも健在です。


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 このゲームには残機数というものがなく、かわりに各面5回までのリトライが許されています。残り回数を使い切るとゲームオーバーでネームエントリーとなりますが、そのとき隠しネームを入力するとコンティニューできます。救済措置があるあたりはわりと親切ですが、パズルに集中したい方は、好きな面で遊べるよう、面セレクトできるように改造するのがオススメです。


 不満点以外に残念なのが、リストに誤植や落丁由来のバグが残っていること。リスト1の1590行-1610行、それとリスト2の1130行-1200行のXWVYの羅列は、正しくはグラフィック文字の罫線です。それとリスト2の4220行、面データの一部が落丁で判別できなくなっています。