何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「HI-WAY」




 はるか昔、レースゲームはその多くが「上から降ってくる車*1をひたすら避け続けるゲーム」にすぎませんでした。順位や勝敗の概念はなく、いいとこタイムぐらいのもの。ライバル車と競い合って勝敗を決するレースゲームがあたりまえになったのは、90年代以降のことだったと記憶します*2。順位を付けるには、もちろんライバル車の位置を管理して順位を決める処理が必要です。当然マシンパワーが必要で、プログラムもより長く複雑に。(おい)
 ですから自作プログラムで「競争」ができるレースゲームは、だいぶ時代が下っても、そう数を見なかったようにおもいます。今回ご紹介する「HI-WAY」(Mファン90/8)は、一風変わった方式で、その数少ない「競争」を実現したカーレースゲームです。

抜きつ抜かれつのデッドヒート。「勝敗」のおかげで格段に面白くなっている。

 赤い車を運転して、ライバル・緑の車より前に出ましょう。しかし赤い車は加速も減速もできません。ならばどうやってライバルを追い抜くか。道の前方から次々に「P」マークが流れてきますので、これを取りましょう。取るとライバル車が少し後退します。取り続ければライバルはどんどん後退し、自然と自車が前に出るという仕掛けです。ただし取り逃すと、逆にライバルは前進します。逃し続ければライバルはみるみる前に出て、置いてかれてしまいます。そして999kmを走りきったところでライバルより前にいれば勝ち、さもなければ負けです。
 本作のキャラクターは8x8ドットと小さめです。ですのでPマークはなかなか拾いづらいです。また、自車から離れた位置に出現して回収が間に合わないこともしばしば。もどかしい仕様ですが、かえってこのもどかしさゆえ、適度な難易度になっている印象を受けます。

周回遅れさせての圧勝。エミュの速度を落としてやってやりました(おい)

 畢竟本作も、上から車が降ってくるタイプのレースゲームではあるのですが、一工夫で「競争」を実現しているのが見事です。ライバル車とぶつかってもクラッシュせず、ひたすら競い合う緊張感を楽しめるのもよいところ。さすがに順位までとはいかずとも、勝ち負けがはっきりするだけで、ゲームの面白さは相当に変わるのだと認識させられました。


 なお、漏らさずPマークを拾い続けてライバルがどんどん後退し続けると、MSXのスプライトの仕様により、しまいに画面前方から再び現れます(おい)。見かけ上は自車の前にいますが、ちゃんと後ろにいることになっているので、周回遅れにしてやったと安心してプレイしましょう。

*1:前から迫ってくる車、でも可

*2:順位を付けるレースゲームは80年代には存在していたが、かの「アウトラン」に順位の概念がなかったこともまた確か(!)