ファンダムプログラムの入力があらかた終わったので、他の雑誌のゲームプログラムをあれこれ入力中です。というわけで本日ご紹介するのは久々のログイン掲載作品「ブロッカー」(86/10)です。
本作は同誌の人気企画「プログラムオリンピック」で発表された作品です。同企画は当時の人気ソフトハウス各社に特製のオリジナルゲームプログラムを作ってもらって、会社の近況紹介とともに誌上で発表するというもの。出品作のソースリストは当然誌面に掲載され、入力すれば遊ぶことができました。今おもえば非常に贅沢な企画です。
そのプログラムオリンピック第3回にて、ビクター音楽産業のソフトウェア部門・クロスメディアソフトが出品したのが、この作品です。
本作はパズルゲームです。主人公・ブロッカーを操り、画面内に散らばる菱形のダイヤブロック*1を押して動かし、ダイヤリングことゴールにすっかり放り込みましょう。するとカギと扉が現れますので、カギで扉を開けてそこから脱出すればステージクリアとなります。当時人気だった「フラッピー」や「倉庫番」のような、ブロックを押したり動かしたりしながら解くタイプの「オーソドックスな」パズルですな。
しかし本作は単なる「フラッピー」フォロワーにはあらず。というのもオブジェクトを動かすルールがちょっと変わっているのです。
本作最大の特徴は「オブジェクトは単独では動かせない」というルールです。
通常のこの手のパズルゲームでは、ブロック等のオブジェクトは、1個ずつしか動かせないものです。しかし本作は逆。基本、2個以上並んだ状態でないと動かせません*2。並んだ状態なら何個でもまとめて押し動かせますが、ぽつんと1個だけ置いてあるものは、押してもうんともすんとも言いません。主人公は力持ちなのかひ弱なのやら。ともかくこのルールのおかげで、並み居る類似の「オーソドックスな」パズルとは違った解き心地が味わえます。
さらに感心するのは細部にまで行き届いた作りです。グラフィック、効果音、アトラクト・ステージクリアデモやアニメといった演出などなど、細かいところまで凝っているばかりか、ステージセレクトにギブアップ機能といった、快適に遊ぶための機能ももれなく実装。スピードの遅さこそ玉に瑕ですが、感触は決して悪いものではなく、弄ってあまりストレスを感じません。
作りによって印象は大きく変わります。基本となる部分がしっかりできていることは大前提ですが、それは細部の作りをないがしろにしていいということではありません。アイディアとゲームシステムが同じゲームなら、演出や遊びやすさへの配慮等、細部まで作りが良い方が遊んで楽しいに決まっています。
本作の場合、「単独では動かせない」というアイディア自体に斬新さはないものの、その脇を固める作りの良さで完成度がかなり上がっています。
敵キャラや残りタイムはなし。思う存分試行錯誤できるのが、へなちょこゲーマーにうれしい仕様です*3。ステージは全10面。全部クリアしてもエンディングがないのはちょっと寂しいですが、オールクリアを目指さなくても良い気楽さがあります。
作者はクロスメディアソフトのアルバイトプログラマー・浜野幸一さん。アルバイトとはいえさすがプロのゲーム開発者。プロの出す作品はやはりひと味もふた味も違うと、格の違いを見せつけられました。
ちなみに本作はテープ専用です。例によってマシン語サブルーチンがディスクのワークエリアを侵食しているおかげです。マシン語リストは短いので、ちょっと手を入れればリロケートしてディスクでも動かせるようにできるとおもいますが、面倒くさいのでやめときます(おい)