何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

移植版ROCKER

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 大作プログラムの在庫がないので、手持ちの中規模プログラムをぼちぼち入力しとります。そういうわけでこの度入力が終わった「移植版ROCKER」のご紹介です。
 「ROCKER」はベーマガ発祥のパズルゲームです。オリジナルは84年に発表されたFM-8/7版。その後数々の投稿者によるさまざまな移植版が発表され、初期ベーマガを代表するパズルゲームとなりました。本作はそのMSX移植版です。ただし本誌ではなく「MSXプログラム大全集」上で発表されています。


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 「ROCKER」は当時よく見かけた「フラッピー」や「倉庫番」タイプ、つまりブロックをうまいこと動かして荷物をゴールまで運ぶという固定画面パズルです。この手のパズルは似たり寄ったりになるので、いかにユニークなルールを作るかが肝ですが、本作の場合、それは「ブロックの消し方」です。
 「G」「C」「P」の三種類あるブロックは、それぞれジャンケンの「手」を表しています。強い手のブロックを弱い手のブロックに押しつければ、弱い方のブロックを消すことができます。逆にあいこだったり弱い手を押しつけても何も起こりません。ジャンケンという誰でも知っている遊びをルールに落とし込んだところがこのゲームのユニークなところで、そのわかりやすさ・親しみやすさゆえ、相当数の投稿者が移植に挑戦したのでしょう。編さんのコメントによれば、MSXだけでも数本の移植版が送られてきたとのことですが、これはその中で唯一発表されたMSX版ということになります。


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 この移植版はBGM付きで、ブロックも常時点滅するなど、演出に凝った作りです。マイキャラが「ハイドライド」のジムなのは当時ならではのご愛敬。簡素ながら賑やかに見せる工夫が評価されたのでしょう。ありがちな敵キャラは存在せず、制限時間もなし。リトライも無制限。緊張感がないと言えばないのですが、その分じっくり考えて遊べますので、パズルに専念したいプレイヤーには非常に嬉しい設計です。遅めのキー反応と全5面と少ない面数は玉に瑕ですが、シビアなキー捌きは必要ありませんし、プログラムリストのデータを書き換えれば簡単にオリジナル面を作れますので、大きな欠点にはなっていません。さすが多くの機種に移植された名作、手出ししやすいパズルだと思います。


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 ところでこのMSX版、REM文に使っているキャラクターが特殊で、そこだけ打ち込むのがちょいと面倒でした。いまさらながらGRAPHICキャラクターを使ったREM文爆発しろ(おい)。