何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「メッコーリー2」~後編




 今月中に続きを書かないともうそのままになってしまうだろうから、突然ですが前回の続き(おい)。


* これまでのあらすじ
 今を去ること約30年。「吉田工務店」なるシューティングゲーム作成ソフトを手にした荒井少年。その成果は連日雑誌やテレビを騒がせていたA教に触発されて生まれてしまった悪夢のようなSTGだった。その存在は永らく忘却されていたが、時代の終わりとともに、その封印が解かれた!(違)


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 教祖ショーコウを失い教団は崩壊に向かうかと思いきや、その組織的抵抗は依然続きます。それというのも何者かが残された信徒を指揮していたため。教団は残された勢力をかき集め、サカモトに仕向けます。というわけで4面は、教団残党との戦いです。
 これまで背景グラフィックはなんとかそれなりの体裁を保っていましたが、ここにきて急にみすぼらしくなります。それというのも3面まで作って気力が尽きたから。いちおう幹線道路上での決戦という設定なので、縁石らしきものなどは描きました(おい)。
 作った本人が言うのもなんですが、まぁ、しっちゃかめっちゃか。「最終面前なんだから、もう置けるだけ敵を置いてしまおうぜ!」というかんじで何も考えることなく、置けるだけ敵を配置した結果、もう画面中が敵だらけで、何の脈絡もなしに襲いかかってきます...MSX2って、こんなにスプライト表示できたっけ? しかも面が進むにつれてザコの耐久力を上げていったから固ぇ固ぇ。久々にプレイしたら何度もここでやられてしまいました。まぁ、最終面前の最後の抵抗にふさわしい(おい)


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 出てくる敵は、各種被り物をかぶった信者とか、楽器を持ってマーチングする信者とか、おおむね当時テレビでよく見かけた教団のパフォーマンス映像に由来します。ところが拡声器を持って教団に抗議に来た右翼とか、盾を持った機動隊とか、もはや対立してないはずの人間も混ざってたりで、もう作った本人も勢いだけで突っ走っていたようです。
 ちなみに上半身裸の男は、当時参議院議員として活動していたプロレスラー・アントニオさん。いちおう敵ではないという設定で、接触してもミスにはなりませんが、ただ出てくるだけで何もしません(おい)。


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 4面の果ては異次元空間の入り口。周囲の時空は歪み、ガレキが乱雑に積み上がっています。まぁ、ご覧のとおりありもののマップチップをてきとうに散らかしただけです(おい)。
 4ボスは教祖なき後、陰で教団を指揮していた教祖の妻。こいつも3面で倒したはずなのですが、まだ生きていたという設定です。もうちょっと後だったらジョーユゥとかそういうキャラにでもしてたんでしょうけど。
 妻の上に浮かぶのは巨大な怨念です。妻もまた、一連の戦いで全てを失っていましたが、恨むだけでそれ以上のことはしてきません。動きもしなければ攻撃もなし。「全てを奪われた男も、復讐によってまた別の誰かの全てを奪っていた。無言の抗議ともとれるこの一方的な戦いで、サカモトは改めてその事実を思い知る。」ということで、こんなボス戦を作ってみたのですが、一番の理由は例によって「吉田工務店」ならではの制約と手抜きです(おい)。
 ちなみに4ボスの名前はキングマハマーヤ。女なのにクイーンじゃないのかよ!


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 そして最終面は異次元空間無の世界。教団の超技術で生み出された魔空空間みたいなものという設定です。面が進むにつれてどんどん背景が手抜きになっているのはこれまでご覧いただいたとおりですが、とうとうグラフィックを描くのも面倒になったおかげで敵も背景も消え、なにもないマップが延々と続きます(おい)。しかし最後の方に僅かに溶岩地帯が存在するので、何もせずにぼーっとしていると衝突して死にます。手抜きを逆手に取った巧妙なワナですな(違)。


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 最後に小さな足場の上に飛び移ると、最終ボスとの決戦です。ラスボスは教団があがめる(ハリボテの)主神像。教団の最終兵器で、毒ガスとかすごい攻撃とかをしてきそうですが、やはり相変わらずタマネギを投げてくるだけ(おい)。操るのはこれも実は生きていた教祖で、よく見ると像の右手の上にショーコウが載っているんですが、さっぱりわかりませんな(泣)。「実は生きていた」というのはいかにも中学男の思考です。
 ラスボスの挙動自体は単調ですが、狭い足場の上での微妙な避けが求められます。こんなことをおもいついたのは、「吉田工務店」の貧弱なボスアルゴリズムの制約内で、どれだけ変わったことができるかという工夫でした。当たると死ぬはずの障害物を無傷で越えて狭い足場に移るというのも、ボス戦になると、地形を無視して画面下部中央に強制的に移動させられるという、ツールの仕様を逆手に取ったものでした。もっとも、当時の荒井にはこれが精一杯だったんですけど!(号泣)


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 そしてハリボテを倒すとエンディングへ。「全てを奪われた男サカモトは教団を滅ぼし、教祖からその全てを奪った。復讐は果たされた。民は救われた。しかし男はそれで満たされることもなく、いずこともなく去って行った」...というニヒルな(つもりの)オチです。復讐の虚しさがテーマだったんですが、中三男の創ったゲームですから出来はご覧の有様です。そもそも画力がなさすぎて、全然シリアスになってねぇ(号泣)


 ...というわけで2回にわたってお届けした、荒井がノリで作ってしまったオリジナルSTG「メッコーリー2」。ブチこまれたネタは、いずれも当時荒井が妙にのめり込んでいたものばかりです。「メッコーリー」の題名は語呂でつけたようなものでして、主人公が一和の大麦健康飲料「メッコール」の缶をどこからともなく無限に生成して武器としているのは、そこから勢いでおもいついたようなものです。
 例の教団やらメッコールやらは、当時サブカルチャーに少しでも足を突っ込んだ人間なら、誰しも多少は関心を示した話題であり、面白半分で採りあげられることも多々でした。そんなスノッブを気取っていた当時の荒井にとっても、これら話題は日常的なものであり、それが中学男ならではの頭の悪い妄想と結びついて、こんなゲームが生まれてしまったのだ...と今さらながらおもわれます。


 その後教団に強制捜査の手が入り、シャレにならない犯罪や殺人が明らかにされると、もはや面白半分で取り扱うこともできなくなりました。そして荒井が教団を話題にすることもなくなっていったのですが、中学生当時、仲間うちでしきりにA教をネタにして盛り上がっていたせいか、後に成人式で同級生と再会した際、「荒井は卒業後A教に入信した」という噂がまことしやかに広まっていたことを知らされ、苦笑したものでした。


 この「メッコーリー2」、作った当時はあたりまえのようにノーミスクリアできまして、いちどきはマウス操作でクリアしたんですが、二十何年かぶりにやってみたら、やられまくりでなかなかクリアできませんでした。
 クリアのコツは、敵の攻撃を全て無効化できるシールドをどれだけ集められるか。敵の攻撃はやたら激しいですがアイテムは潤沢に出現するので、シールドさえ切らさなければ、クリアはそれほど難しいことではありません。


 まぁ、自分で言うのもなんですが...こりゃクソゲーだよ!(号泣)