何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「BUBBLE」

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 「シャボン玉」というのも、かつてゲームでよく見たフィーチャーでした。もろくて割れやすいとか、風に乗ってふわふわ飛ばされるとか、モチーフにしやすいものがあったのかもしれません。「バブルボブル」なんて歴史的名作ですよな。
 というわけで今回ご紹介する「BUBBLE」は、Mファン89年9月号に掲載されたシャボン玉パズルゲームです。


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 主人公はシャボン玉の「バブルス君」。バブルス君をうまいこと操り、ゴールに導くのが目的です。バブルスといってもマイコーの飼い猿ではありません(おい)。
 主人公はシャボン玉なので当然もろいです。地形にぶつかるとダメージが増えまして、一定数たまるとやられます。中にはぶつかるだけで即死の障害物もあるので油断ができません。

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最終面。タイミング良くパネルを移り渡るのがクリアの鍵だ。

 バブルス君は風で勝手に流されたり、重力で下に落ちるということはありません。そのかわりにアップ&ダウンパネルなる物体が登場します。上に載るとアップパネルは上へ1マス、ダウンパネルは下へ1マス流されます。流された先で障害物にぶつかってミスということもあるので、不用意に踏むのは禁物です。
 このパネルはただ流されるだけではありません。ここがパズルの肝でして、バブルス君はパネルの力で「ワープ移動」ができるのです。パネルを踏んだ回数はカウントされてあり、その数に応じて上下にワープ移動ができるようになります。ワープできる距離は踏んだアップパネルとダウンパネルの差の分。ワープ移動を使えば、邪魔なブロックを飛び越えて移動できるので、クリアには必須の技です。
 踏んだパネルの数は常時画面上に表示されています。クリアにはワープを見越したパネルの踏み方や障害物にぶつからないようなルート取りを考えることが必要で、これがゲームのパズル要素となっています。


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 これだけでも十分パズルゲームとしては通用するのですが、さらに敵キャラ「やーくん」がゲームをより複雑にしています。
 やーくんは見た目通りの矢のキャラです。矢ですので当たれば当然バブルス君は割れて死んでしまいます。やーくんの動きは単調で読みやすいのですが、それゆえタイミングを計って避けるとかパネルに乗り降りするといった動作も必要になってきます。ここにパズルのみならず、アクションゲームとしての味が加わっています。
 敵キャラが出現することでゲームの難易度は上がってしまいますが、パズルだけでは少々簡単なきらいがあることも確かです。やーくんの存在は、小憎らしくて巧いフィーチャーでしょう。


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 ゲームは全部で15面。当時の自作パズルゲームとしては多からず少なからずまずまずのボリュームです。操作性がやや良くないとか、よくやられるのにコンティニュー機能がないのは気になりますが、面ごとに解き方のヒントも表示されまして、全体に気を配って作られている印象を受けます。

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「まものクエストII」。Mファン読者なら知らぬ者はいない。

 さて、ここしばらくMファン89年9月号掲載作品を立て続けに紹介してきましたが、同号はTPM.COさんの「まものクエストII」が載った号でもありました。「まもクエ」といったらファンダムを代表すると言っても過言ではない名作RPGシリーズ。ですので他の作品はことごとくその陰に埋もれた感があります(おい)。事実、当時荒井はTHE LINKSのダウンロードサービスで、該当月の作品は「まもクエII」の1本しかDLしておらず、他のは今の今までノーマークでしたから。
 しかし「まもクエ」以外の作品もきちんと遊べる良作揃いで、改めてファンダム作品の質の高さに感心したのでありました。ファンダム作品は粒ぞろいで、大ハズレというものを見かけません。これは今おもえば、とてつもないことだったのではないでしょうか。

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エンディングメッセージ。どこかはかなく美しい詩のようでもある。