何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「オフロード」




 例によってしばらくご無沙汰ですが、MSX用プログラムは毎日入力しているのです。というわけで本日はすこし珍しい作品をご紹介。MSXマガジン88年1月号より「オフロード」です。





 その名のとおり、オフロードラリーを題材にしたレースゲームです。ラリーカーを操り、制限時間内にコースを完走しましょう。全5コースを完走すればオールクリアです。操作は基本ジョイスティック専用。アクセルボタンはなく、キーを入れっぱなしにすることで加速します。本体のスペースキーを押すとリタイアとなってゲームが終了してしまうので、プレイ中は押さないよう気をつけましょう。

右に行くか左を行くか。最適なコースを見つけ出そう

 変わっているのは画面切り替え式ということ。自車に合わせてマップがスクロールするのではなく、画面外に出ることで隣の画面に切り替わります。行く手に何があるかは実際に足を踏み入れるまで予測不可。画面右下には大まかなコースマップが表示されています。これを見ながら最適なルートを探す出しことが、完走には不可欠です。マップを探索しながらルートを明らかにしていくというフィーチャーは、画面切り替え式ならでは、といったところでしょうか。
 なお、コースマップに示された以外の画面に出ると画面が暗転し、コースから外れたという警告が表示されます。

立ちはだかる水たまり。踏み込んだら大幅な性能低下は避けられない

 走るのは不整地です。コース上にはガレ場や砂地、ヤブ、水たまり等の障害物が待ち受けます。これらに乗り上げるとタイムロスにつながります。制限時間内に完走できなければ失格・ゲームオーバーです。
 ロスするのは時間だけではありません。障害物の上を走ると、車の性能が徐々に落ちます。性能低下が重なるとやがて加速できないとか、ステアリングが効かなくなる等、操作に支障が出てきます。ですのでできるだけ障害物を避けて走るのが肝要です。
 一方、あえて障害物をむりやり越えることで大幅なショートカットができるところもあったりします。ステージによってはそういうところを見つけることも、完走には必要となってきます。

ステージクリア。性能か残り時間を取るか思案のしどころ

 完走すると次のステージへと移ります。その前に車を修理することができます。修理することで落ちた性能を回復できますが、修理は時間と引き換えです。時間をかけて修理すれば完調にできる一方、その分次のステージの制限時間が減り、完走が難しくなります。性能低下と修理というフィーチャーは、過酷なラリーらしさを感じさせる面白いアイディアです。

データ確認中。よほどうまく操車しないと性能がガタ落ちする

 作品は至ってユニークです。ですがゲームは相当に難しいです。普通のレースゲームの感覚で操作すると、障害物を避けきれず見る見る間に車の性能が落ち、走行不能に陥ります。障害物を避けるには、非常に繊細なキーさばきが必要ながら、なまじキー反応も動作速度も速いので操作しづらいです(おい)。良くも悪しくも挙動が軽いため、車を運転しているという感覚は乏しいです。
 また、ゲームオーバーになってもコンティニューができません。クリアには何度もやり直してコースマップを覚え、最適なコースを探す試行錯誤が必須なのに、失格するたび最初のステージからやり直しとなるのはなんとかしてほしかったです。

エンディング。例によって改造して見てやった(泣)

 作者はかの松田浩二さん。「トゥルーラブストーリー」のキャラデザで特に有名ですが、多部田俊雄さんの相棒として活躍された人物として記憶しているレトロコンピューティング者も多いことでしょう。デザイナーだけにグラフィックはさすが。マップはもちろん、ステージ間に登場するメッセージガールの女の子キャラもカワイく描かれています。
 プログラムは要MSXべーしっ君。その恩恵か、スピードも挙動も必要十分。マシン語によるBGMも付いてます。ゲームとしては惜しい部分が目立つものの、アイディアや技術面はさすが腕利きの製作者さんならではです。


 それはそうとスクロールしないレースゲームはやっぱり許さんw(おい)

コースアウト画面。見た目がかっこ悪いのでこれはどうかしてほしかったな。