何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

歳末一画面プログラム祭りファイナル~その2

「POTETTA」と「願望」。
91年3月号掲載分ではなぜかこれだけ当時入力してた

 というわけできのうに引き続きファンダム1画面プログラムネタ。本日は91年3月号掲載作品のうち、未入力だったもののご紹介です。
 Mファン91年3月号のファンダムには、全部で13本のプログラムが掲載されてました。そのうち10本が実に1画面プログラムと、いつもより多くの作品が掲載されていました。そのうち2本は当時すでに入力済み。残り8本を入力したのは、ようやく今年になってから(汗)。大作に比べて見た目のアピールが弱いことと、その気になればいつでも入力できる規模ゆえ、1画面プログラムの入力が今の今まで後回しになっていたことは、以前当ブログで述べたとおりです。

「ひとりテニス」

 というわけで「ひとりテニス」(91/3)。一人でやる壁打ちスカッシュゲームみたいなゲームは一画面でもおなじみの題材です。珍しくもなんともありませんが、本作の手法には「その手があったか!」と膝を打ちます。
 題名どおり、パドルを操りひとりで球を打ち返すゲームです。しかし他と違うのはここから。画面上下はつながっていて、パドルを画面外に出すと、反対側から現れます。これを利用して、画面下でボールを打ったらすかさず上に移動し、さっき打ったボールを打ち返すのです。上で打ち返したら今度は下へ。これを繰り返し、ひとりでリレーを続けましょう。取りこぼしたらゲームオーバーです。

反対側に出てきたところ。あっちったりこっちったりで忙しい。

 上と下を一人でこなすのは非常にせわしく、頭もこんがらがりますが、そこが他にない面白さとなっています。ありそうでなかなか見かけない、一人二役のテニスゲームというアイディアが実に見事です。

「RGB」

 「RGB」(91/3)は直感勝負のクイズゲームです。画面内に赤・緑・青三色のパネルが敷き詰められています。どの色が一番多いか当てましょう。当たれば次の面へ。面が進むほどパネルの数が増えます。外れてもゲームオーバーにはならず、2問前に戻されます。回答時間には制限があります。右下のメーターがなくなるまでに答えられないと、やはり2問前にZAPです。
 類似のクイズゲームは数見かけたような感がありますが、本作はシビアな時間制限が身上でしょう。メーターは瞬く間に減り、簡単な問題でも焦ってお手つきしがちです。

面が進んだところ。これだけ細かくなると表示も時間を要します

 ゲームは瞬間画面表示ではありません。パネルは一枚一枚描画されます。面が進むほど描画すべきパネルの数が増え、その分表示に時間がかかるようになります。表示中の画面は丸見え。つまり面が進むほど実質的に回答時間が増えるため、ある程度面が進んだ方が答えやすくなります(おい)。瞬間画面表示で全てのパネルが一気に表示されるようにした方が、ゲームとしてはより適切なのでしょうが、そこまで求めるのも、という気もします。
 作者さん曰く「10分は楽しめるゲーム」。友達に遊ばせたら10分は面白がって遊んでいたが、それ以降は飽きてしまったとか。明確なゲームオーバーがないので、1面に戻されたら終わりとかくらいはやってよかったとおもいます。

「GO!GO!わたる君」

 「GO!GO!わたる君」(91/3)。警察署の花瓶を割ってしまった特別警察わたる君が、「速いマシン」に乗って海上道路をひたすら全力で逃げるゲームです。MSX2お得意の3D風アクションゲームですな。
 海上道路はときどき途切れています。そういうところはジャンプでかわしましょう。ただしジャンプするにはパワーが必要なため、連続で大きなジャンプはできません。

バグテク・海上でも水没しない。色の検出処理に問題がある模様。

 スピードは十分ながら、プログラムの書き方の問題か、当たり判定が若干甘いです。着地してるのになぜかやられたことになったりということがしばしば。中でも自機を一番左に寄せると、海上でも水没したことにならず、延々と走り続けられます。書き方を見直せば修正できそうな気もしますが、めんどくさいのでやめときます(おい)。

「くるくる」

 「くるくる」(91/3)は以前紹介した「駆け」や、古くはプロポシェ時代の「あてっこ」に通じる当て物ゲームです。四つのコップのどれかに玉が入ります。シャッフル後、どこに玉が入っているかを当てましょう。コップがよい動きしますな。

「あてっこ」(プロポシェNo.12)。
かの「GALLEON」「MAZE BATTLE」等の名作を作った川本さんの作

 「賭け」は題名どおり、どこに入っているかを掛けるゲームでした。本作はどこに入っているかを当てるだけの至って健全な作りです。そこは元祖「あてっこ」と同じながら、スピードのみならずシャッフル回数も選べるようになっているのが、5年間の進歩というところでしょうか。

SOLE HOLE」

 「SOLE HOLE」(91/3)は、シンプルなパチンコシミュレーターです。画面上の釘の並びを見て、底のここぞという場所に入賞口を設置しましょう。釘の並びが気に入らない場合は、別の台にチェンジすることもできますが、ランダムに作成しているので、同じ台は二度と表示されません*1。かくて台を選び、入賞口の位置を決めたらゲームスタート。発射される玉が入賞口に入るかどうかを固唾を呑んで見守りましょう。玉は全部で100発、全自動で発射されます。当然たくさん入った方が高得点です。連続で入ると得点に倍率がかかるとか、残り10発になるとフィーバータイムに突入とか、アツくするフィーチャーを盛り込むことも忘れてはいません。玉の打ち方よりも台選びが重要なところが、妙にリアルですな。
 それはさておき、玉の挙動が見ていて飽きません。ギャンブルの代表格と見なされて久しいですが、パチンコとは本来、玉の動きの面白さを鑑賞する遊戯なのだなぁとおもいました。

「バウンド」

 「バウンド」(91/3)は、MSX2らしい画面の疑似3Dスカッシュゲームです。四角いラケットを操作し、画面奥の壁めがけ、球を打ち返しましょう。打ち返すほど球は高く弾むようになります。高いところの球を捉えるには、ラケットを空中に移動させなければなりません。ところがラケットの上下移動はヨッパライ式というのが、本作のミソです。高いところに上がった球を打ち返すには、球の軌道を読んでタイミングを合わせてラケットを上昇させなければならず、コツが必要となります。床には球やラケットの影も表示されています。グラフィックに立体感を持たせると同時に、高さを判断する材料にもなっているところが巧みですな。
 この手のゲームでは、ボールを逃したらアウトというものが多いものですが、本作は珍しいことにライフ制。逃すとパワーが減り、これがなくなった時点でゲームオーバーとなります。ちなみに40回打ち返すとゲームクリア。でも難しすぎて荒井は10点くらいが限度でした(泣)

「まとっ」

 「まとっ」(91/3)。木を避けながら森を駆け抜け、矢で的を狙うゲームです。木にぶつかればゲームオーバー。矢の本数には限りがあり、めくらめっぽうに射ると尽きます。森の中に落ちている矢のパネルを拾えば1本増えるので、弾切れしてもゲームオーバーにはなりません。
 編集部は「流鏑馬(やぶさめ)みたいなゲーム」と評していましたが、まさにそれ。そのむかし盛岡八幡宮のお祭りで見たもんです*2

結果発表。ゲームオーバー時に成績を表示してくれます

 盛岡の流鏑馬は、境内にまさに流鏑馬をやるのにちょうど良さそうな直線のコースがあって、そこをまっすぐ一息に駆け抜けて矢を射ってました。本作は木を避けることに集中すると的に当たらず、的に集中すれば木にぶつかるといったあんばいで、まっすぐ一息にということができません。ここがゲームならではのおもしろさとなってます。


 91年3月号には他にもNu~さんの作品が1本掲載されています。こちらはまた後日紹介いたします。

*1:-TIMEでもれなく乱数系列変えてます。

*2:寒河江のはまだ見たことがない。