何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「川越東スペシャル」

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どうして天童市にしなかった(おい)

 「利かずの駒並べ」というパズルがあります。使うのは将棋道具一式。「利き筋」こと、駒の動ける範囲に他の駒が入らないよう、将棋の駒を盤面に配置するというもので、古くからある遊びのようです。
 というわけで今回ご紹介する「川越東スペシャル」(Mファン89/11)は、利かずの駒並べをMSX2で再現したパズルゲームです。


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 本来は9x9のフルサイズの将棋盤に、これまた歩から王将まで40枚全部の駒を使うようです。しかし本作は単なるMSX2版「利かずの駒並べ」ではありません。
 ゲームはステージ制です。ステージは全部で14。初めの方は盤面も狭ければ駒の数も少なく、かんたんに解けるような面が揃っていますが、ステージが進むにつれて盤面は広くなり駒数も増え、どんどん難しくなっていきます。いくつもの問題を用意して徐々に難問が現れる構成にしたことで、コンピューターゲームらしい面白さや遊びやすさが生まれています。

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右で選んで左で置いて。マウスに対応してればよかったなぁ!

 MSX2の性能を活かしたグラフィックも秀逸で、将棋盤に向かっている感じがよく出ています。その一方UIはやや煩雑で、駒を選んだり置き直したりする際にもどかしさを感じます。もっとも、このへんはカーソル&スペースキーという操作系の限界でしょう。
 それとやはりそれなりに将棋を知っていないと遊びづらいです。荒井は将棋のルールを知らないので*1、駒の動かし方をググりながらやることになりました(おい)。定石や戦法の知識こそ不要ですが、駒の動き方を覚えていた方がスムーズに遊べることは確かです。
 将棋を知らない人向けに、駒の利き筋が画面に表示されれば遊びやすくはなるでしょう。ですがそれでは難易度が「目に見えて」落ちてしまうだろうので、このままでいいのかなという気もします。将棋の駒の利き筋を覚えるのにいいかもしれませんな。

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最終面。本式の「利かずの駒並べ」が最後の問題だ。

 「川越東」という日本の地名風のタイトルは、当時コンピューターゲーム界を席巻していた麻雀牌パズル「上海」のパロディであると同時に、「上海」とは違うんだという対抗心の現れでもあるようです。
 作者さんは「超新鮮なアイディア」と自賛していますが、実はルールは古くからあるものです。とはいえ定番ゆえの明快かつ洗練されたルールの上に、コンピューターゲーム向けのアレンジの巧さが加わり、良質な作品となっています。

*1:いいんだよ! 荒井は天童市民じゃないから!!(おい)