アメリカでは共和党の大統領候補選びが盛んになっているようですが、それとは関係なく、こないだ動作確認が終わったMSXプログラムのご紹介。本日はMSXマガジン87年12月号より「トランプ3種」です。
本作はトランプを使った一人遊び用ゲーム・ソリティアの詰め合わせです。遊べるのは「ピラミッド」「モンテカルロ」「クロック」の3種。それぞれ一定のルールに従い場の札を取ったり開けていったりして、すっかり札をなくしたり、開けてしまえば上がりとなります。「ピラミッド」と「モンテカルロ」は山札が二周するまで、「クロック」はキングが4枚出揃うまでに上がれないと、ゲームオーバーとなります。
画面はなかなかきれいです。操作性も悪くありません。カードのシャッフルに時間がかかるものの、オールBASICならば許容できる範囲でしょう。ゲームを実行してそのまま放っておくと、プレイデモが表示されるのもなかなか凝ってます。一粒で3度おいしいにもかかわらず、リストの長さは6ページ程度。まぁ、悪くはありません。
見た目は面白そうなんですが…はっきり言って、ゲームとしてはあんまり勧められないかな、とおもいます(おい)。
勧められない理由はなんと言っても、展開がほぼ乱数頼みだからです。成否がとにかく場札の配置と、「引き」こと山札の出方に左右されます。プログラムはシャッフル処理の際、解ける配置になるような配慮を全くしていません。
なのでゲームが自分で考えて解くパズルというよりも、いかによい配置と札を引き当てるかという運試しになってしまっています。「上海」やWindowsの「フリーセル」のようなものを期待すると、肩透かしを喰らいます。
荒井は、ゲームにおける「乱数=運」とは、技術でカバーできるものでなければならない、とかんがえてます。運が悪いと展開が面倒になるものの、プレイヤーの腕前次第では十分取り返せるというものであれば、そこに駆け引きが生まれます。
しかし出目によっては絶対にクリアできないというものでは、腕前にかかわらず、解けるかどうかは運次第ということになります。特にクリアすることが目的のパズルであれば、元から解けないという時点で、プレイする意味がなくなってしまいます。そこに駆け引きが入る余地はありません。
編集部による寸評では、プログラムはよくできているが「次回は考えるコンピューターを目指してください。」と注文が付けられています。それは本作が思考ルーチンを搭載した対戦カードゲームではなく、ソリティアの詰め合わせであることへの物足りなさの表明であるとともに、きちんと解けるパズルゲームとして仕上げて欲しいという含意もあったのかもしれません。