そのむかし。 「何段かに分かれた階層を行ったり来たりするサイドビューアクションゲーム」はよく見かけるものでした。「ドンキーコング」「ソンソン」「マッピー」「ドアドア」等々...現在では「プラットフォーマー」としてくくられるジャンルですが、それでは示す範囲が広すぎるので、あえて荒井は「階段アクションゲーム」と称しています。
今回ご紹介する「酒樽ころりん」は、例によって「アクションゲーム38」に収録された「階段アクションゲーム」です。
内容は至ってシンプル。階層に分かれたステージを樽が転がっているので、がんばって押し戻しましょう。樽は右上から左に向かって転がります。画面左に達した樽は下の段の右側から再び現れます(逆に右端に押し返すと上段左に出てきます。)最下段の左まで達すると、逃したことになってゲームオーバーとなります。全ての樽を右上まで押し戻せば面クリア。次の面では樽の数が一個増えて、より難しくなります。
樽は同時に何個か転がってくるので、常に全ての樽の位置に気を配らなければなりません。押し戻している樽と転がる樽がぶつかると、転がる樽が一段下に落ちてしまうので、こちらも要注意。ちなみにプレイヤーの上下移動は自由です。瞬時に階層を移動できるので、ストレスがないのがよいところです。
樽と階段アクションといったら、当然おもいだすのは「ドンキーコング」でしょう。「ドンキーコング」に比べればシンプルそのもの。しかしながら、「押し戻す」という「ドンキーコング」にはないアクションゆえ、「ドンキーコング」とは異なるおもしろさがあります。むしろ樽を避けるのではなく、あしらい方を考えるのがこのゲームの核心ですので、「ドンキーコング」とは元から違うと言うべきでしょう。ぶつかってもミスにならないため、避けに気を遣わなくていいところも、へなちょこゲーマー荒井にはうれしいところです。
樽の移動にはMSXのMID$関数を使っています。MID$は文字列の中身を操作できる関数です。文字を流したりスクロールさせたり等々応用範囲が広く、ゲーム作りではなにかと重宝がられました。本作では樽の移動を文字列操作として処理することで、至って軽快な動作を実現しています。
キャラが大きい方が見栄えはするんでしょうが、8x8ドットのキャラだからこそ、この軽快さがあるのかなという気もします。