何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

天台の道に行ってきた

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GR IIIで撮影。Photoshop Elementsで縮小


 こないだの週末はまとまった休みが取れてしまったので、「やまでら天台の道」を歩いてきました。
 山寺といえば立石寺が有名ですが、そこから東にちょっと離れたところに所部(ところぶ)という集落があります。かつて慈覚大師円仁が数々の寺院を設けたところと伝えられ、旧い信仰を伝える史跡の数々が残っています。「天台の道」はそれら史跡を巡る道で、例によって前から気になっていたんですが、ようやく行ってきたという次第です。


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 まずはコザブジェラートさんの日向夏ソルベットで景気づけをして、スタート地点・千手院を目指します。千手院は円仁が設けた寺の一つで、ちょうどコザブさんの手前から左手に分岐して、数百メートル進んでいったところです。


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 「天台の道」へは千手院境内の墓場の脇から入っていきます。路面はすでに雪もなく、歩くにはまったく問題ありません。案内標識や看板類は要所要所に設置されてありますが基本的には山道なので、注意していないと迷いそうなところも多々あります。


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 まず目指したのは垂水(たるみず)霊境。無数に穴が空いて蜂の巣状になった岩壁が連なる霊地で、中には円仁が寝泊まりしたとかいう洞穴もあります。この奇景に古人が神仏を見いだしただろうことがしのばれましたが、穴ぼこだらけの岩壁は蓮コラのようなグロ画像のようでもあり、こういうのが嫌いな人には耐えられないだろうなともおもったのでありました(おい)。


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 垂水霊境から西に進むと、道は尾根に上がります。このあたりは千手院の裏山にあたる場所で、テラスのようにいくつかの岩が張り出しています。通称「七岩」。そのひとつ、弓張岩に上がってみると、所部の集落や仙山線、紅葉川対岸の家並みなどがよく見えます。
 所部の集落からこちら側を眺めてみると、七岩がまるで要塞のように並んでいる様が見えるのだそうですが、時間の関係で対岸に渡るのは割愛。今度コザブさんに行ったときにでも見てこようとおもいます(おい)。


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 七岩を過ぎると道は谷間のようなところに下りていきます。すると間もなく広々とした場所に出ます。この広場には修験場という名前が付いていますが、立て看板によると、庶民信仰のお祭り広場のようなところだったのではないかと推測されています。広場の奥には書き割りのごとく巨岩が据わり、周囲を奇岩が固めます。
 立「石」寺の名や磐司岩など、山寺の地は巌神信仰と縁が深いです。垂水霊境や七岩、この修験場もまた然り。ここもまた巨岩奇岩が並ぶ二口山塊の一部であり、この荒々しい自然が山寺の信仰の大元にあることを改めて知ったのでありました。


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 さらに進んでいくと、やがてゴールの山寺霊園にたどり着きます。墓場からスタートして墓場にゴールというのも、信仰の道らしいのかもしれません。
 ひととおり歩いてみて、立石寺が現在の立石寺として洗練される以前、原初山寺にあった素朴な山岳信仰の姿をそこかしこに見たような心地でした。全行程は時間にして約1時間半ほど。千手院の近くに無料駐車場がいくつかありますので、歩く際はそちらを利用するとよいでしょう*1


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*1:山寺で無料駐車場は貴重なんだぜ。