何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

南面白山に登ってきた


GR IIIで撮影。Photoshop Elementsで縮小


 というわけでこないだの日曜日、南面白山に登ってきました。
 一般的に「面白山」と呼ばれている山は、二口山塊の最も北に位置する北面白山のことです。しかしそれとは別に南面白山という山がありまして、こちらにも登れるようになっています。場所は北面白山の南南西。北面白山とは奥羽山脈の縦走路でつながっていますが、わりと距離が離れているので、登る場合は面白山高原から直接山頂を目指すのが一般的です。去年小東岳に登った際、その姿を間近にしていよいよ登りたくなって、とうとう行ってきたのでありました。


 今回は仙山線面白山高原駅前から面白山スキー場を縦断して山頂に至るコースを選択。一番お手軽なルートです。紅葉川源流域を周遊する登山道も魅力的なんですが、残雪期は増水で通れないこともあるというので、時期的にパス。ただしもうちょっと歩き応えがほしかったので、一つ南の猿鼻山まで足を伸ばすことにしました。


天童高原から回り込む。ちなみにこちらはすごい人出。三密大丈夫?
 まずは面白山高原まで行かなければなりません。パジェロミニを転がし、いつもどおり山寺経由で駅を目指しましたが、ここでいきなりつまづきます。山寺から面白山高原に至る市道が通行止めで、こちら側から行けなくなっていたのです。これじゃ帰りにコザブさんに寄れねぇぞと愚痴りつつ、天童高原からの回り道を余儀なくされたのでありました。
 かくして30分程余計にかかったものの、7時半前になんとか面白山高原駅に到着*1。駅前に車を停め身支度を済ませたら、さっそく登山開始です。


スキー場目指してのぼりだす。こっちは至って静かなもんだ。
 折しも新緑シーズンまっただなかの週末。周囲には荒井以外の登山客の姿がちらほらと認められます。しかしほとんどは北面白山目当てです*2。南面白山に向かう人は荒井以外に誰もいません。
 秋にはコスモス畑となることで有名なこの場所も、夏の始まりとあれば花一輪とて咲いていません。そもそもスキー場が休止してから10年以上。リフトは止まったままで、人の気配のないロッジにはもの悲しさが漂います。同じ「面白山」でもこんなに違うのかよ。そのギャップに愕然としつつ、スキー場を登っていくのでありました。


旧ドルフィンコースを往く。暑い。滑る。急(泣)
 登りの前半は、かつてのゲレンデ登りです。一部林の中を通るものの、大部分は陽当たりの良い斜面の直登。ダラダラとした登りが続くばかりか、まともに直射日光を食らいじわじわと体力を削られます。さすがスキー場、茂みや立木というものがありません。
 ひいこら言いながら1時間程登りつめれば、スキー場のてっぺんです。


新緑のブナ林に突入。
涼しいとか気持ちいい以外の言葉が出てこない
 スキー場を抜ければブナの森。登りはここからが後半です。南面白山のブナ林はちょっとしたものという評判で、これを見てくることも目的の一つでした。これまでとはうって変わって森の中は涼しく、暑さでうだった身体がすっかりよみがえります。しかも道は平坦で快適そのもの(おい)。広葉樹林ならではの明るい森は新緑も目にまぶしく、楽しいことといったらありません。


岩だらけの道。そういやここも二口山塊だった。
 ところが愉快な森歩きは程なく終わり。じきに足元には大きな岩が目立ちはじめ、登りも次第に急になってきます。岩だらけで足元が悪いばかりか道も少々判りづらく、気が抜けません。間違いなくここが一番の難所でしょう。それでもあたりはブナの美林で、息苦しさはありません。
 岩場を抜けてもしばらく急登は続きますが、ここを登り切れば山頂です。



山頂とそこからうかがう大東岳。南面白山は格好の展望台だ。
 かくてふもとから2時間程の歩きで山頂に到着。山頂には三等三角点の標柱と「南面白山山頂1225.4m」の表示付きの、縦走路案内看板が立っています。その脇からはどうぞご覧ください、といったあんばいで大東岳が大きく間近に望めます。
 もちろんそればかりではありません。去年登った小東岳や糸岳、その向こうの仙台神室や山形神室、蔵王も一望に見渡せます。眼下に広がるのは山形市郊外や山辺方面の町並み。はるか先の白い山並みは朝日連峰と飯豊連峰。南面白山からの展望は、北面白山に引けを取りません。こないだ買ったミクロン持ってってよかったぜ。


猿鼻山。去年小東岳から見上げた山
 山頂からは、南に伸びる稜線上に登山道が刻まれているのがよく見えます。これをたどった隣のピークが猿鼻山です。鞍部を一つ越えるだけながら、急な下りと登りであるばかりか枯れた笹で滑りやすく、少々難儀しました。
 猿鼻山の山頂は、微妙に背の高い藪のおかげですっきり見渡せるというほどではありません。三角点や標識もなく、地味なピークです。ただし南面白山からここに至るまでの区間のところどころからは、月山・葉山といった南面白山山頂からは見えない山々が遠望できます。特にこの日は天気に恵まれ、鳥海山まで見えたのでありました。


南面白山周辺の眺望。月山・葉山が見たければ猿鼻山まで行くことになります。
 今回の目的は猿鼻山までの往復。山頂を踏んだところで来た道を同じく引き返し、午後1時前に無事面白山高原に帰還。駅周辺はあいかわらず北面白山方面への登山客や紅葉川渓谷目当ての観光客の姿が目立ち、ソーシャルディスタンシング大丈夫なんだろうなと心配してしまうほど。同じ「面白山」でも荒井が山中で見かけたのは山菜採りらしきおじちゃんが二人だけでした。同じ山域でも、場所を変えれば静かな山歩きが楽しめるのは、二口山塊の奥深さゆえでしょう。
 ところで翌日、南面白山で遭難事件があったというニュースを見ました。時間も場所も荒井が出入りしたのと同じ頃。遭難しなくて良かったな、俺(汗)


 例によってコースタイムを記しときますのでどうぞご参考に。


7:30面白山高原駅-7:40パラダイス食堂前-7:51レストハウスおの前-8:02ペアリフト駅-8:09車道終点-8:15旧ドルフィンコース-8:35スキー場トップ-8:47岩道-9:06ブナ林急登-9:31南面白山山頂-9:58山頂発-10:12猿鼻山鞍部-10:32猿鼻山-10:45山頂発-11:00猿鼻山鞍部-11:21南面白山山頂-12:15スキー場トップ-12:35車道終点-12:37ペアリフト駅-12:43レストハウスおの前-12:52パラダイス食堂前-12:59面白山高原駅



帰りに寄ったいばらきさんのおろし中華とコザブさんのアイス。
結局山寺までまた迂回したぜ(おい)

*1:こんなこともあろうかと、時刻に余裕を持って家を出てきてはいるんだがな。

*2:北面白山へは面白山高原から登ることも可能です。てか人気コースのひとつ。