前記事:
夏の一画面プログラム祭・その1 - 何とか庵日誌
というわけで今日もきのうの続き、最近打ち込んだ一画面プログラムネタです。
出典は全て徳間のMSXファン。88年7月号と同8月号に掲載されたものです。特に8月号は「出血大サービス」ということで大小14本のリストが掲載されました。そのうち一画面はプログラムは10本を占めています。すでに入力してあったものを除き、今回は都合14本を一気に入力したという次第。そりゃデバグや動作チェックに手間取るわけですよ(泣)。
というわけで7本目「D-STANCE」はいわゆる「洞窟探検ゲーム」。スクロールしながら迫ってくる壁を避けて進みまくれというゲームです。本作の自機は宇宙船。障害物を避けつつひたすら遠くを目指します。壁にぶつかるとエネルギーが減り、ゼロになるとゲームオーバー。進むほど障害物が増え、難しくなります。遠くを目指すから「ディスタンス」なわけですが、他との違いは、パワーアップの存在です。エネルギー回復アイテムと、無敵アイテム「?」。「?」を取ると宇宙船が赤くなり、一定時間障害物に当たってもダメージを受けなくなります。この手のゲームにはぶつかると即ゲームオーバーというのが多い中、判定をゆるくすることで豪快に遊べるのが魅力です。
8本目「The Chicken Race」は、文字どおりのチキンレース。ゲームを始めると、画面左からコースの上をニワトリが走ってくるので、コースの端ギリギリを狙って止めましょう。スペースキーで止まりますが、ニワトリは加速しながら走っているので、すぐには止まれません。慣性を見越してスペースを押さなければなりませんが、早すぎると端まで達しませんし、遅ければ行きすぎて落下します。いかにギリギリまでキーを踏みとどまれるか。その見極めがゲームの勘所です。
ゲーム自体は単純なワンキーアクションですがこのゲーム、秀逸なのはニワトリ君の台詞です。失敗すると「もっと練習しろ!タスケテー!」といった恨み言を吐きながら落下して、あわれヤキトリにされてしまいます。
閑話休題。本作はリスト自体に誤字がありまして「レンシュウシロ」と綴るべきところが「レンュウシロ」となっています。これを「レンシュウシロ」に訂正すると、文字数の関係で表示がうまくいかなくなるので、修正するときは適宜文字数を合わせてやる必要があります。「練習」が「鍛錬」になっているのはそういうことです(汗)。
さて、見事チキンレースに成功すると、ニワトリ君は「やっただ!」と勝ち鬨を上げるのですが、ご褒美としてチキングラタンにされるという過酷な運命が待っているのでしたw Mファンはおそらく、この台詞で掲載を決めたに違いありません(おい)。
9本目「らいとUFO」は工夫が光る一本。真っ暗闇の一隅を懐中電灯のごとく照らしながら飛ぶ赤いUFOを操り、暗闇のどこかに隠れた敵UFOを探してやっつけていきます。
ライトやUFOは全てスプライトで描かれています。スプライトには表示の優先順位というものがありまして、優先順位が高いものほど、重ねたときに手前に表示されます。敵UFOの優先順位をライトより前に持ってくることで、単純にスプライトが重なっただけで、浮かび上がって見えるという寸法。敵UFOは背景色と同化しており、ライトと重なったときだけ見えるという仕組みです。手探り感覚が面白い一本です。
10本目「猫に小判」は驚異のパズルゲーム。ゲーム自体は至ってオーソドックスなもので、「¥」をゴールに運ぶのが目的です。各種オブジェクトは押して動かすことができますが、一度押したら何かにぶつかるまで止まりません。各ステージはオブジェクトを押せる手数が決まっていて、それ以内でクリアしなければなりません。
この手のパズルはそれこそ掃いて捨てるほどありますが、本作の凄さは一画面ながら100面もの豊富なステージ数を誇ることです。MSXの「疑似乱数」を利用することで、少ないデータで豊富な面パターンを生成しています。MSXのテープ版フラッピーが60面足らず。MSX版ロードランナーが100面くらいです。80年代のパズルゲームは面数の豊富さが売りでもありましたが、容量1KB程度一画面プログラムで100面を実現したことがどれだけ凄いかは、プログラミングを少しかじっている方ならわかっていただけるのではないでしょうか。
というわけで残りはまた次回に続きます(おい)
続き:
夏の一画面プログラム祭・その3 - 何とか庵日誌