「SWORD OF PEACE」に引き続き、またMマガ作品を打ち終わったのでご紹介。今回は85年11月号より「カン・エダの塔」です。
当時は「ロードランナー」や「フラッピー」といったアクションパズルが人気を博していました。本作はそれらに触発されたであろう、面クリア型のアクションパズルゲームです。不死の薬を手に入れたと噂されるカン・エダなる人物に会うため、彼が住む塔を登るというのがストーリー。各ステージの目的は、部屋の中のハートを全て拾って出口にたどり着くこと。塔は全部で13階。ドルアーガの塔よりぐっと手軽に登れます(おい)。
画面はサイドビューです。フィールドには重力が働いています。足場のないところでは落下します。主人公はジャンプができません。そのかわり二段までの段差なら登って上がれます。
また、左右の足下の床を蹴落とすこともできます。蹴落とした床は、下に床があるところまで落下します。これで足場や通路を確保しつつフィールド内を動き回り、ハートを回収して出口に向かいましょう。
しかし例によって、うかうかしてはいられません。主人公には制限時間と体力が設定されています。制限時間はおなじみのやつ。体力は何かアクションを起こすと減ります。特に床を蹴落としたり、二段分の段差を登るとてきめんに減ります。どちらかがゼロになると当然1ミス。残機がなくなればゲームオーバーです。操作を誤ると手詰まりになる局面が多いので、意外に慎重な操作が必要です。
パズル部分は、よく観察しながら考えれば、解き方が見えてくる程度の難易度です*1。しかし本作は動きを停めてじっくり考えられるようにはできてはおらず、動かしながら解き方を探さなければなりません。コンティニュー機能はなし。さらにBGMにショパンの「幻想即興曲」がけたたましく流れるものだから、焦るといったらありゃしない(おい)。
実際、ファンダム作品のように無制限にリトライできるようにした方が、パズルとしては断然遊びやすくなったはずです。しかしあえてそうしなかったことで緊張感が増し、ゲームが引き締まっていることは見逃せません。そのため面クリアアクションゲームとしての性格が強くなっています。
コンティニューはできませんが、ギブアップ機能は付いています。残機1と引き換えに、そのステージを最初からやり直せるのは当然として、本作ではもうひとつ役割があります。
時に、体力が不足してクリアできないという局面が現れます。そんなときはギブアップすることで、体力を若干回復させられるのです。体力はステージクリア時に若干回復します。しかしそれだけでは間に合いそうにない場合、あえてギブアップして体力を増やした状態から始めるといった判断も必要になります。
10面からは、落下できるはずなのに落ちなかったり、落とした床が途中で止まったりといった現象が現れます。これはバグではなく「見えない床」のせい。これがあるステージは、そのありかを見破らない限りクリアできません。パズルに加えて、床や主人公の挙動から推理して所在を突き止める謎解き要素も出てきます。
めでたく13面をクリアすると、エンディング。塔の主カン・エダが現れ、プレイヤーの健闘を称えるとともにコーヒーを勧めてきます。どうやら不死の薬とはコーヒーだったようです(おい)*2。
エンディングデモはなぜかスクリーン0使用。なのでMSX2以降でWIDTH80設定をデフォルトにしていると、表示が少しおかしくなります。これは50150行のSCREEN0の後にWIDTH40を補えば修正できます。
気になったのは、地味なグラフィックと、コンティニューができないこと。グラフィックは素っ気ないほど必要最小限。これでも決して悪くはないのですが、少々物足りなさも感じます。それとやっぱりコンティニュー機能はぜひ欲しかった。クリアするには何度もの試行錯誤が必要ながら、ゲームオーバーになったら1面からやり直さなければならないのは面倒です。正攻法でプレイするなら相当に手強いでしょう。荒井はエミュのステートセーブ機能を使ってクリアしてやりました(おい)。
それとプログラム中の注釈がなぜかフランス語。どこで何をやっているのか一目でわかりづらく、バグ取りで微妙に悩まされました(おい)。なにもこんなところでエスプリ効かせなくてもいいのに(泣)
とはいえパズルが苦手な荒井も次の面が気になって全面クリアしたほどですから、出来は良いのでしょう。操作性も十分。パズルのみならず、謎解き要素まで盛り込んだところに特に感心しました。なかなか良質なアクションパズルゲームです。
ついでに本作の作者は「NEPTUNE SOFT」を名乗っています。ちょっとディープなMSXユーザーには知られたデバッグツール「MOLITOR」の制作元も「NEPTUNE SOFT」を標榜してたんですが、同じとこが作ったんでしょうかね。