何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「グインウルフ」入力完了




ここしばらくMSX打ち込みネタがご無沙汰だったのは、こいつを入力していたからです。
ログイン掲載MSX用プログラム「ザ・グインウルフ」が、
ようやくまともに動く段階までこぎ着けました。
全10ページ、総リスト数8(うちBASICx3,マシン語x5)の超大作。
リストが多分割されていていちいちテープイメージを作るのが面倒だった他、
誤植由来のバグもいくつかありまして、
入力作業は「PERSPECTIVE」以上に大変なものがありました。
バグ情報を教えてくださったayumu_bさんありがとうございます!






「ザ・グインウルフ」は「ログイン」1986年6月号に掲載された、
MSX用SFロールプレイングAVGです。
作者は「Nagata Takanori」さんという人物なんですが、漢字でどう書くかは不明*1
当然ながら32K・テープ専用。
時は未来、舞台は宇宙の無法地帯ガウスタ。
非情なる宇宙の殺し屋「グインウルフ」になりかわり、
今回の標的「ゲルマ」を暗殺することが目的です。
ゲームは基本的にAVGですが、捜査のためフィールドを動きまわったり、
戦闘で資金を稼いだりと、RPG要素も多分に含まれています。
謎解きのみならず、戦闘をこなして資金を集め武装を整えていくことも
クリアの大きなポイントとなります。
遊んだ感覚は以前紹介した「THE STORY OF STARBREAKER」に似てますかね。
特筆すべきは手の込んだグラフィック。
AVG部分の一枚絵や顔グラフィックはPCG、敵キャラはスプライトで描かれているのですが
MSXを使いこなしたグラフィックは見応え十分で、一見の価値ありでしょう*2





AVG部分はよく使うコマンドを数字キーで選び、具体的な単語等を
文字入力するというコマンド選択・入力複合式。
シーンや受け付ける単語が少ないのは打ち込みゆえの悲しさですが*3
その中で魅せる物語を作ろうと工夫しただろうことがありありと伺えます。
スケールは小さいながらも、なかなか凝ったシナリオや謎解きは好感度大。
AVGパートのボリュームの少なさをRPGパートが補って、ちょうどよい
ボリュームになっているというかんじです。


ログインでは「ゲームコンセプトを欲張りすぎてまとまりがなくなっている。
しかしアイディアのセンスは抜群」と評されていました。
欲張りすぎてわかりづらかったり、練り込み不足な部分もありますが、
SFの格好良さ、AVGの謎解きや物語性、
RPGのフィールドを動きまわる面白さや成長させる楽しさ等々、
強烈に惹かれるものがありますね。
いずれにせよMSX打ち込みプログラムでは相当高水準な内容。
打ち込んで損のない作品と言えましょう。





例によって今回も簡単にマップを作ってみました。
今時どれほど役に立つかはわかりませんが、どうぞご参考に。
これでうちにあるログインプログラムは全部入力してしまったんだなぁ(泣)

*1:本当はリストログの扉ページに作者の名前が記載されているのだが、手元にあるのがリストとゲーム説明のコピーのみなので、漢字の綴りがわからないのだ。

*2:さすがに現行のコンピューターゲームと比べるのは酷ですが、貧弱なハードの限界に挑むようなドット絵にも職人技が光るのです。

*3:一見しただけではクリア方法がよくわからず、リストを解析したり試行錯誤した末、ようやく解けました。