何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「PANEL」




 しばらく間が空いたMSXプログラムネタ。本日は電波新聞社の「プログラム大全集2」より「PANEL」です。
 有り体に申し上げてブロック崩しです。パドルを操作してボールを取りこぼさないよう打ち返し、ブロックを全部壊そうぜというゲームです。全7面クリアでエンディングが見られます。本作にはいちおうストーリーもあります。なんでも主人公は出口目指して謎の部屋をひたすら突き進んでいるらしいのですが、知らずともプレイに支障はありません*1。あらましは以上(おい)。





 ブロック崩しゲームは、それこそ「BREAKOUT」の昔から、コピーやフォロワーが数多く登場しました。投稿プログラムでもピンからキリまであまたの作品が現れたことは、これまで何度か当ブログで採り上げたとおりです。
 その中でも本作の出来は出色のもの。主要な処理はマシン語化されてあり、動作速度や操作性はばっちりです。ボールの挙動もなかなか良好。パドルの当たった位置によって、スピードや反射角が変わります。
 ブロック崩しゲームにおいて、狙い打ちの可否はゲームの難易度や性格を決めてしまう、密かに重要な要素です。ときどき地形にハマって抜け出せなくなるのは、通常ならば致命的な問題点ですが、後述する「裏技」があるので大目に見ましょう(おい)。





 数々の機能が充実しているのも、特筆すべきことでしょう。操作デバイスはキーボード・ジョイスティックはもちろん、マウスにも対応しています。エディットモードでオリジナル面を作って遊ぶこともできますし、さらに作ったステージをディスク*2に記録することまで可能です。

ステージエディット機能付き。こんなムチャクチャなステージも作れます(おい)

 さらに裏技も存在しています。そのひとつが、ボールをパドルに戻すというもの。SHIFTキーでポーズをかけている最中に、CLS/HOMEキーを押すと、ボールがパドルに戻ります。ボールが地形にハマってしまったときの非常手段として用意したとおもわれますが、当然、ボールを取りこぼしそうになったときの救済策として使えます(おい)。*3

バラエティに富んだステージの数々。
しかし内容は飽くまで従来型の「ブロック崩し」だ

 本作は全体的に手の込んだ作りで、非常に良い出来と言ってよいです。しかし自分の場合、通常に遊ぶ分には、目が覚めるほどすばらしい、という感動はありませんでした(おい)。

最終面。ブロックが滝のように降ってくる!

 確かに出来は非常に良いです。しかし内容は飽くまで従来型のブロック崩しから大きく外れるものではありません。「アルカノイド」に見られるような、パワーアップ等の要素はなし*4。プレイ感覚はやはりチマチマしたもので、爽快感には乏しいです。壊すゲームであるにもかかわらず破壊のカタルシスが少ないのは、ブロック崩しの宿命なのかもしれません。むしろ先述の裏技を積極的に活用した方が、壊す気持ちよさが味わえておもしろかったりして(おい)。

エンディング。表示がズレてるように見えるのは仕様です。

 リストは非常にきれいに書かれています。1行は短く、FOR-NEXT構文は律儀に字下げまでしています。しかしその分プログラムは8ページと長め。注釈は全くなし。マシン語データに至ってはチェックサムもありません*5。そのため書法のきれいさとは裏腹に、リストは読みにくく見直しづらいです。キー入力の検出に一部INP・OUT関数を使っているため、何の操作をしているかが一目でわからないのも、デバグの上では厄介です。
 投稿プログラムのブロック崩しゲームとしては、かなり出来はよいです。しかし現在入力してまで遊ぶほどの内容か…とかんがえると、積極的には勧めません(おい)

*1:どうやらストーリーでは、各ステージの概要を紹介しているらしい。

*2:Disk-BASIC上で動かすには、CTRLキーを押しながら起動するという、例の操作が必要です。

*3:もうひとつ裏技があるらしいが、こちらはいまだ見つけられてません(泣)

*4:ブロックに耐久力の要素はある。

*5:作者さんは容量が足りなかったためと釈明していますが、当然チェッカーフラグでDr.Dに厳しく指摘されてました。