何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「神秘の天宮図」&「SLEEP STAR」

作者さん実名が現れる部分は書き換えてあります。

 年末に入り、プログラムネタも追い込みに入りつつあります。というわけで本日ご紹介するのはMファン91年8月号より「神秘の天宮図」です。


 本作は星座をモチーフにしたアクションゲームです。主人公はほうきに乗った魔法使いキキ。彼女を操り、フィールド内に散らばる星を次々に点灯させていきましょう。星に灯りをともすには、ぴったり真上を通過しなければなりません。すべての星を点灯させた上で、画面右端にたどり着けばステージクリア。ただし制限時間は夜が来るまで。灯りを点け終わる前に画面がすっかり暗くなってしまうと、タイムアウトでゲームオーバーです。ステージクリアすると灯した星々が線で結ばれ、星座が浮かび上がります。ゲームは1周12面。各面でひとつ黄道十二宮の星座を作ろうという趣向です。2周クリアでエンディング。2周目からは触れると即死のお邪魔キャラ・ハレーが登場し、難易度が上がります。

ゲーム画面。星を巡って灯りをともそう

 珍しいことに本作はMSX2+以降用です。タイトル画面で漢字表示やスムーズ横スクロールを使っているのが、その理由でしょう。キャラクターもかわいらしく描き込まれています。
 こんな具合にアイディアと雰囲気・キャラクターは悪くありません。コンセプトは決して悪くはないのです。ところが…このゲーム…はっきり言って、面白くないのです。

1面クリア。これさえけっこう難しい(泣)

 原因は主に操作性の悪さです。
 まず、操作方法がよくわかりません。本作は操作が「ラジコン式」です。カーソルキーの左右で旋回するというやつですな。通常、変わった操作方法のゲームは、Mファン誌面で具体的な操作方法を説明しているものなのですが、なぜか本作では、ラジコン操作であることに一切触れていません。ですのでラジコン操作だと気づくまで、ひとしきり悩むことになりました。
 ラジコン操作だとわかっても、今度は操作が気持ちよくありません。キャラクターはビットマップグラフィックで描画され、そのおかげできれいに描かれています。しかしそのあおりか、動きがコマ落ちしたようにぎこちなく、さらに動くたびにチラつきます。どうしてモード2スプライトを使わなかったんだ…

ステージ開始時のデモ。キャラクターはよく描けているのだが…

 星は完全に上に重ならないと点灯しません。動かしづらいのに精密な操作が要求されるので苦痛です。効果音がないというのもいただけません。せっかくの雰囲気なのに淡々として盛り上がらないばかりか、効果音がないので操作しているという手応えがありません。内容もMSX2+の機能をあえて使う必然性を感じませんでした。これならMSX2で十分だろ、と。
 というわけで遊んでもストレスがたまるばかりで早々にイヤになり、さっさと投げ出しました(泣)。動きが肝のゲームで、動きがつまらないのは致命的です。

「SLEEP STAR」。アトラクトにキャラ紹介があるゲームを見ると興奮するぜ(おい)

 似たようなゲームを以前どこかで見たような気がするので、この際だからと探して入力してみました。というわけで本日はもう一本。「SLEEP STAR」。こちらはMSX1以降用。電波新聞社の『MSXMSX2プログラム大全集』に収録されています。

ぶつかって星を起こそう。
ぶつかるだけなのでその点は楽ちんだ

 こちらもやはり星座をモチーフにしたアクションゲームです。主人公の天使・プーくんを操り、眠っている星を起こしましょう。星はぶつかるだけで目が覚め色が変わります。全ての星を起こせばステージクリアです。ただし悪魔デビラーが邪魔してきます。プーくんにぶつかるとミスになるのはもちろん、起きている星にぶつかると星が再び眠ってしまいます。デビラーは単純にプーくんを追いかけてきます。うまく引きつけながら動くのが肝心です。また、デビラーが星にぶつかると、星の反対側に瞬間移動してきます。これにも要注意です。
 もともとはベーマガのミニコーナー「影さんのブラックボックス」で提案されたゲームです。同コーナーは自作を志す投稿者に向け、こんなゲームを作ってみたら、とかんたんなプロットやアイディアを紹介していました。本作のアイディアは85年3月号の同コーナーに登場しています。

オリオン座でやられる。ココデオワルハズガナイノニ(おい)

 正直、このゲームもそんな出来は良くないです(おい)*1。アイディアはよいとして、良くも悪しくもベーマガ的。作りの甘さや素人臭さが目立ちます。効果音もありません。しかし主人公プーくんの挙動が、なかなか悪くないのです。
 提案されたアイディアにはないオリジナル要素として、プーくんの挙動に慣性がつくようになりました。焦ったり、調子に乗って動かしていると、制御が効かず、すぐデビラーに衝突してやられてしまいます。クセのある操作性ではあるものの、こちらはマイキャラの挙動がわかりやすい上スムーズなので、操作自体のストレスは少ないです。つまりこちらは遊びやすいのです。


 今回は同じようなコンセプトのゲームを二本紹介しました。しかし操作性の善し悪しで、手触りにかなりの差を感じました。
 コンピューターゲームには多かれ少なかれ「操作する楽しさ」があるとおもいます。操作性の良いゲームは、難易度が高くてなかなか先へ進めずとも、キャラクターを動かしているだけでも楽しいものです*2。ですから操作性が良いことは、ゲームの楽しさの上で、絶大なアドバンテージとなるのです。

*1:「チェッカーフラッグ」では賞賛されているにもかかわらず。ベーマガでは入力しやすさも相当に重視されたため、その分ゲーム自体の出来に多少目をつむることが多かった感があります。

*2:個人的にそんなゲームの筆頭格はスーファミの「HAGANE」。ほとんど先へ進めないが、操作しているだけで楽しい!