GR III。PhotoShop Elementsで縮小
というわけでこないだのよく晴れた日曜日、豪士山に登ってきました。前日までは山寺に行く気満々だったんだが、ものすごい混みそうだという噂に怖じ気づいたんだい。
さておき豪士山は、高畠町の南方、和田地区の奥地にある山です。奥羽山脈の一座で、付近は福島県との県境になっています。
荒井は「豪士山」よりも「豪士峠」としてその名をおぼえています。山中にはかつて福島の茂庭地区に至る道・茂庭街道が通じており、藩政期には本街道・二井宿峠や板谷峠に対する脇道として使われていたのだとか。そんなわけで以前から名前だけは知っていて、訪ねてみたいとおもっていた道でありました。
登山道は和田地区の東方から伸びています。上和田の集落を過ぎ*1、奥羽山脈に向かって突き進むことしばらく。道が舗装路から砂利道に変わり、この先に本当に登山口があるのかと不安になる頃、本宮のキャンプ場が現れます。道は間違っていないようだと安心し、ここに車を置いて登山開始です。
キャンプ場から数分歩いたところが登山口です。登山口にはすでに車が数台駐まっており、なかなか人気の山のようです。いきなり花の沢を渡渉すると、続いて急登が現れます。しかし道は細かいつづら折りなので、えげつなさはありません。
一汗かいた頃に急登が終わり、尾根上の平場に出ます。平場には「花の肩」という風雅な名前が付いていて、南には駒ヶ岳が大きく望めます。後は途中にわずかな急登を挟む以外、奥羽山脈の主稜線までおおむね平場が続きます。道は広く平らで至って明瞭。仕舞いの紅葉を愛でつつ、乾いた落ち葉を踏みしめどんどんと進んでいきます。
谷のどん詰まりで再びつづら折りを描き、奥羽山脈の尾根に飛び出ると、程なく豪士峠です。大分水嶺の上は背の低い茂みに縁取られた草むらで、見通しもよく爽やかです。ここまで来ると豪士山は目の前です。
この道には、人が盛んに往来することを期して整備されたような雰囲気があります。いわばまさに通りやすいように道ができたかんじ。なるほど、かつてはそれなりに利用された街道なのだ、と納得するものがありました。
幕末には、継立に費用がかかる本街道筋を避け、脇街道のこちらが利用されることが増えたといいます。それはこの道がそれだけ通りやすかったことの裏返しなのかもしれません。
峠から15分ほどの歩きで山頂到着。山頂からは四周に眺めが広がります。置賜盆地が一望できるのは当たり前。こないだ登った文殊山もはるか下です。向こうにはとがった山容の祝瓶山を正面に、朝日連峰や月山葉山が見渡せます。反対側に広がるのは、摺上川上流の山並みです。山深く、すぐそばのはずの茂庭っ湖さえ見えません。
展望を楽しんでいると、山頂に人が集まってきました。この晩秋の晴れ間逃すまじと、多くの登山客が山登りを楽しみに来たのでしょう。荒井もその一匹だけどな(おい)。
下りはひかば越えのコースを選択。地元愛好会が平成に開削した道で、砂川源流の本沢に従い登山口に戻れるルートです。山頂から南に奥羽山脈の稜線をたどり、草がちな鞍部のところから西に分岐。細かなつづら折りで沢へと降りていきます。
大変なのはここからでした。つづら折りを下りきると、いきなり道が悪くなります。沢伝いにかろうじて道跡が付いているものの、やや荒れ気味で、よく注意しないと見失いそうです。さらにところどころ崩れかけてたり、濡れ落ち葉や岩で滑りやすかったり、足を踏み外したら転落必至の崖っぷちを渡るような箇所が続出して、全く気が抜けませんでした。本当にここでいいのかと不安になりつつ進んでいくと、忘れた頃に目印のリボンやロープ場などが現れ、ここでよいのだと安堵することの繰り返し、街道というよりガチの登山道といった趣でした*2。
ひかば越えのコースは、花の肩を経由する街道から周回できるようにするため、稜線上に登れる道をしゃにむに切り開いたかんじがあります。こわごわと下った先で整った林道に合流し、見覚えのある登山口に出たときは、心底ほっとしました。
周辺は登山道が充実しているようで、南の駒ヶ岳方面に周遊することもできます。今度はこちらの方にも登ってみたくなりましたが、たぶんひかば越えは避けるとおもいます(おい)。
例によってコースタイムは次のとおり。登りより下りの方が時間がかかったぜ。
9:58/本宮キャンプ場-10:06/登山口-10:22/露岩帯(花の肩)-11:07/水止まり-11:20/豪士峠-11:35-12:05/山頂-12:30/ひかば越え分岐-13:01/「ひかば越え」標柱-13:30/林道-13:48/登山口-13:55/本宮キャンプ場