仙台神室岳は笹谷峠と二口峠の間にある山です。隣はかつて登ったことのある山形神室岳。山形神室からは間近に山の姿を拝めるので、その際「隙あらば登ってやろう」とか言ってましたが、あれからすでに14年。まだ登ってなかったのかよ!(汗)
仙台神室へは、笹谷峠から奥羽山脈の県境尾根を伝って行くのが一般的です。しかし今回は歩き応えや見所の多さなどを考慮して、周回ルートを選択。仙人沢コースで仙台神室を目指し山頂を踏んだ後、山形神室を経由して笹谷峠に戻ってくるというルートです。これなら途中にある仙人大滝も見物できますし、標高的に紅葉も見頃だろうし、見晴らしのいい尾根歩きも楽しめて無駄がないぜという算段です(おい)。
道自体はそれなりに整備されてありますが、沢道の常で、気をつけていないと迷いそうです。一応標識みたいなものは随所にあるものの、標識より頻繁に現れる目印のリボンの方が頼りになりました(おい)。
さておき標高800mほどの沢筋ですので、景勝には恵まれています。次々に現れる小さな滝や淵、そしてこの時期ならではの紅葉に彩られた森が、おおいに目を楽しませてくれました。少し進んではこの風景はいいな、撮らなきゃならんだろ、と立ち止まっては写真を撮るものだから、歩くペースも遅めです。
仙人大滝はその名のとおり、仙人沢最大の滝です。三方は高い崖に囲まれたどん詰まり。地表ははるか上に見上げたところで、地の底まで来てしまったのかという錯覚に陥ります。目の前の岩を削って流れ落ちる滝の落差は40m。こんな険しい場所が笹谷峠にあったとは。峠屈指の奇勝に、まだまだ知らない笹谷峠の一面を見た想いでただただ賛嘆するばかりでした。
地形図で見て予想はしていましたが、この支尾根が非常に急で足場が良くありません。坂というよりもはや壁。足下には龍のように木の根が這い回り、ロープ場が連続します。途中にある岩場は足の踏み場もない痩せ尾根で、バランスを崩して転げ落ちたら間違いなく死にます(おい)。間違いなく仙人沢コース一の難所でしょう。
ただし岩場の上からの眺めは抜群です。目指す仙台神室や笹谷の谷と雁戸山がよく見えました。
1022mピークからは緩い登りに変わります。尾根の上からは木々の間に太平洋も見えてきます。やがて登山道は尾根筋を逸れ、ブナ林を通過します。このあたりは仙人沢の源流域で、涵養林ともなっているのでしょう。
源流の沢が最後の水場で、また最後の渡渉地点でもあります。この水がゆくゆくは釜房湖の水となって、碁石川・名取川と名前を変えて太平洋に注ぎます。渡ったところで源頭の涸れ沢を伝い稜線へ。涸れ沢といっても少し水があるので多少足下がぬかります。
そのとおり、山頂直下は非常に急でした。足下には人の頭程の大きさの岩がゴロゴロしており、ここで落石に遭ったら間違いなく死にそうです(おい)。なるほど、「怪峰」とも呼ばれるのももっともです。
山頂の標高は1356mで、大東岳と大きく変わりません。周囲の木々はすっかり冬枯れ模様でしたが、中腹あたりには色づいた木がまだまだ残っています。苦節14年(おい)、あのとき山形神室から眺めた場所に、ようやく来ることができました。
落石注意の急坂を下り、ダンゴ平を今度は西へ。斜面をひと登りして奥羽山脈縦走路に合流すれば、間もなく山形神室岳です。
全体的に道跡は明瞭ですが、仙人沢付近は分かりづらいところがいくつかあります。先述したとおり案内標識は設置されていますが、小さくて少々分かりづらいです。標識よりも道迷い用のリボンの方が充実してるので、もっぱらこちらを頼ることになるでしょう。地形図&コンパスがあると非常に助かります。
最後にコースタイムを記しときます。写真撮りながら歩いたのでけっこう遅めです。
7:30鞍部駐車場-8:05仙人沢コース登山口-9:05仙人大滝分岐-9:15仙人大滝-9:30仙人大滝分岐-10:11 1022mピーク-10:42最終渡渉地点-10:55ダンゴ平-11:17仙台神室岳山頂-12:00山頂発-12:21ダンゴ平-12:45北蔵王縦走路合流地点-12:52山形神室岳山頂-13:25トンガリ山-13:40岩場-13:47ハマグリ山-13:59大関山-14:25鞍部駐車場
GR IIIで撮影(2枚目のみPowerShot A70)。Photoshop Elementsで縮小。