いつもどおり唐突に先日打ちおわったプログラムのご紹介です。今回は「マーブルマン」。Mファン89年2月号掲載の一風変わったアクションゲームです。
Mファン誌では「変型ブロック崩し」と紹介されています。各面の目的は「GON」こと三角形のブロックにボールをぶつけてすっかり破壊すること。ぶつけて壊すという点がブロック崩しに通じるのでそう呼ばれているのでしょうが、本作はただのブロック崩しとはかなり違っています。
ブロック崩しにつきもののパドルは存在しません。しかも操作するのはボールの方。使うキーは一つだけ。何もしないとボールは加速度を付けてひたすら落下しますが、ボタンを押すことで加速度を付けながら上昇できます。左右から障害物に当たれば跳ね返り、左右の移動方向が変わります。いわば「ヨッパライゲーム」式操作でボールを動かし、ブロックを狙うわけです。
「アルカノイド」以降、パワーアップや各種ギミック等を盛り込んだ、モダンなブロック崩しが数登場しましたが、本作はブロック崩しの仲間というよりも、そのヨッパライ版、モダンなゲームシステムで作られたヨッパライゲーム、という印象を受けました。
ヨッパライゲームは投稿ゲーム界では数現れたものですが、こうした方法論のヨッパライはなかなか類を見ないものです。ありそうでなかった「モダンなヨッパライゲーム」という目の付け所が見事で、まさにアイディア賞ものでしょう。全体的に作りはなかなかよいもので、ステージ数も14とボリューム十分。よくできた作品であることは少し弄るだけでわかりました。
ただしこのゲーム...正直、荒井はちっとも楽しめませんでした。その理由はあまりに高すぎる難易度です。ボールの挙動に癖があるのは当然ですが、お邪魔キャラの「ガンセキミサイル」がとにかく凶悪。ミサイルは自機にY座標を合わせて発射されますが、短い間隔で頻繁に発射されるので、すぐに当たってやられます。しかもヨッパライ式操作ゆえ、かわすのが一仕事。GONをはじめとするブロックを狙っていれば、それに高さを合わせてすぐにミサイルが飛んでくるので、ますますやられやすいのです。
コンティニューはなし。スコアを稼げばエクステンドしますが、必要なスコアを稼ぐ前にみるみるやられてゲームオーバーとなってしまいます。
この難易度の高さは製作者さんもお見通しで、「とにかく数回であきらめずに自機を手懐けろ。上達すれば恍惚のフライト感覚が味わえる」とコメントしています。
そのとおり、この手の操作に癖があるゲームは、上達して自在に動けるようになるほど面白くなるものなんですが、そこに至るまでが長すぎて、プレイ中のストレスたるや相当なものです。ハードルが高すぎて上達がさっぱり目に見えず、面白くなる前にすっかりイヤになって投げ出したのでありました(おい)。
プログラムを改造してミサイルを無力化すれば相当に遊びやすくなります。いちおうそれでエンディングを拝むところまで行ったのですが、それでもオールクリアは厄介で、むしろ無改造で全14ステージをクリアできるようになるまでどれくらいの時間と労力が必要なのかと気が遠くなりました。破壊するゲームであるのに我慢を強いる要素が多すぎるのか爽快感には乏しく、自機を「手懐けてまで」先が見たいとおもわせる魅力を荒井は感じませんでした。労力に見合った楽しさは得られそうにもないと。
出来が良いのは確かなのですが、人を突き放したゲームであることもまた確か。正直、荒井には合わなかったのでしょう。パワーアップとかでミサイルを撃退できるとか、ブロックが壊し放題になるといった、より攻撃的なフィーチャーがあれば、印象はもっと違っていたかもしれません。