何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「がんばれトコちゃん」





 ひさびさに打ち込みプログラムのご紹介。


 Mファンやログイン等の雑誌に比べると、いまひとつ地味なMSX用プログラムが多かったベーマガですが、地味ながら確かな出来の作品があったこともまた確かです。今回紹介する「がんばれトコちゃん」は、そんな技ありベーマガプログラムの一つです。掲載は1986年7月号。ジャンルは固定画面アクションゲームで、クリボーのような主人公トコちゃんを操り、町を荒らしまわる化け物デカッパをやっつけるという内容です。


 ゲームは残機・ライフ併用制で、ライフがタイマー代わりになっています。ライフが0になると残機が1減りますが、ライフや残機はアイテムで増やすことができます。トコちゃんは町に散らばる鉄壁こそ通ることができますが、その際電撃でライフが大きく減少しますので、通常はジャンプで飛び越えることになります。
 デカッパは赤と青2種類のファイアを操り、トコちゃんを追い詰めてきます。青のファイアはトコちゃんを追いかけてきますが、鉄壁は通過できません。赤のファイアは気まぐれに移動しますが、全ての地形を通過できます。トコちゃんがファイアにぶつかると、ライフがあっても残機を失います。
 トコちゃんは丸腰で攻撃手段というものがない上、デカッパ自体は鉄壁で囲まれた区画から出てこないため、このままでは倒せません。そこでどうするかというと、アイテムを拾っていくと爆弾のスイッチが出現します。これを取ってデカッパがいる区画の壁に穴を開け、そこから青のファイアをうまく誘導して、デカッパにぶつけてやるのです。デカッパを倒せば面クリアで、次の面へと進みます。


 ...と言葉にするとややこしいですが、要は壁に穴を開けてファイアとデカッパをぶつければいいわけでして、一度遊べばルールはすぐにわかります。この手の敵から逃れることが中心のゲームは「追いかけゲーム」*1と呼ばれていましたが、本作は敵を利用して敵を倒すというアイディアがまず面白いのと、それを活かすためのゲームデザインが巧みで、これが他の追いかけゲームとの差となってます。


 作者さんは、一見地味ながら個性が光る作品が持ち味で、ベーマガでは他にも「青空大相撲」「花泥棒大作戦」等の作品が掲載されています。後にはMファンにもいくつかの作品を投稿し、掲載を果たしています。

*1:その代表作が「パックマン