MSXは1983年の秋に登場しました。その後パソコン雑誌各誌にも徐々に対応プログラムが掲載されるようになりました。というわけで今回ご紹介するのはポプコムより「バーニンホイール」。掲載は84年4月号。同誌初のMSX用ゲームプログラムです。
「燃える車輪」と銘打つとおり、本作はレースゲームです。レーシングカーを操り、制限時間内にサーキットを3周しましょう。ライバル車とクラッシュしたりコース外に出ると爆発してその場からやり直し。自車はステアリングの他、加減速が可能です。好タイムを記録すれば高得点。逆にタイムがなくなればゲームオーバーとなります。
最大の売りはスクロールです。本作では自車の移動にともない、マップが8方向にスクロールして表示されます。作者さん曰く、かの「サンダーフォース」に触発されてこのゲームを作ったのだとか。
80年代、パソコンゲームにおいてスクロールは重要な技術でした。その点本作のスクロールはなかなかのもの。スクロールのためにマシン語を使っているおかげで速度は十分です。自車のスピードを上げれば流れるようにマップが表示されます。8x8ドット単位のカクカクスクロールなのはMSXゆえのご愛敬(おい)
現在のゲームに比べて、当然勝手は何かと違います。自車はキーを押しっぱなしにしても転回しません。ポン、ポン、と一回ずつキーを押すごとに、自車の向きが少し変わります。まずはこの仕様に気づかないと、まともに車を動かせません。もっとも、デリケートな操作が要求されるというだけで、ゲームそのものはきちんと成立しています。車の向きは45度単位。コースには傾きが45度でない直線もありますので、微妙な操車が必要なところがちょいとニクい(おい)。
ゲームは基本的に簡素です。ステージは全9面あるもののコースは一種類だけ。進んでもあまり変化がないのは残念なところです。もっとも、MSX登場間もない頃にこれだけやっていれば、上々と言って良いとおもいます。プログラムが短めで入力しやすいのもよいところです。
本作はもともと32Kバイト用です。しかし32Kを要するのはマシン語リストを配置している場所のため。総容量自体は16Kに収まります。そこで掲載翌月の号には、16Kバイト環境でも動かすための改造法が掲載されました。やってることはマシン語部分のリロケートと、それにともなうBASICリストのアドレス部分の変更です。すでに入力していれば、若干の変更で動かせるようになります*1。
最後になりましたが情報およびデータを提供してくださったabura catさんにこの場を借りてお礼申し上げます。