何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「GO UP 地底族の逆襲」




 間が開きましたが例によってMSXプログラムは入力中です。というわけで本日は変わったところを。Mマガ92年2月号*1より「GO UP 地底族の逆襲」*2です。
 本作は縦STGです。敵を撃墜しながらステージクリアを目指すというやつですな。実は前作が存在します。同誌89年11月号に掲載された「GO DOWN」という作品で、下から上にスクロールするという、逆スクロールの意外さが評価されたようです。
 この「GO UP」はその続編。前作で地上人に侵略された地底族が、地表目指して反攻を開始するというストーリーがあるようです。ですのでスクロール方向は前作とは逆の上から下。方向だけなら一般的な縦STGです。





 しかし本作はただの縦STGにあらず。地底から攻め上るという設定のとおり、フィールド上には重力が働いています。自機が弾を撃つと、一旦画面上方に上っていった後、やがて重力に引っ張られて落ちてくるのです。しかも自機がコレにぶつかるとやられるという鬼仕様。やたらめったらに撃ちまくると、落ちてきた弾に当たって自滅します(おい)。無駄撃ちは自らの首を絞める行為となるのです。

ボス戦。各面攻撃パターンが変わります。

 Mマガでは「陰険すぎる」と評していましたが、このアイディアこそ秀逸! 自弾に当たっても平気な仕様だったら、他のよくある縦STGと同じになってしまいます。下から上に向かって攻め上るという設定を活かしつつ、他のSTGにないプレイ感覚を与えています。
 無駄撃ちを抑え、狙って当てに行くというプレイスタイルは、どこか「レイディアントシルバーガン」や「斑鳩」を彷彿させるものがあります。チェインボーナスないけどな(おい)

炸裂して壁を生成するザコ。本作屈指の難敵だ*3

 さておき、ゲームは全5面。各面趣向を凝らしたザコキャラに、ボスキャラももれなく登場します。非常にスムーズな挙動に目を奪われる一方、多種多様な移動や攻撃パターンからも目が離せません。イカのように画面下から昇ってくる奴、壁をブチ抜きながら落ちてくる奴。特に高速で飛来し炸裂して八方に壁を生成する奴には悩まされます。

「今だ!ボムを使え!!」。地形さえ破壊するハイパーボム。
初めて使ったときびっくりした

 しかも「地形」をフィーチャーしています。別途マップデータや表示処理、衝突判定等が必要となるせいか、「地形」を採用した投稿STGは、実は案外珍しい存在です。
 対する自機は4種類のパワーアップが可能です。中でも地形もろとも敵を吹っ飛ばすボムには度肝を抜かされます。

壁をブチ抜く極太レーザー。「スペースマンボウ」ばりだぜ

 ゲーム自体の難易度は高めです。どこにどの敵が出現するというパターンは決まっているものの、出現位置は毎回一定しません。覚えゲーの要素もありつつ、アドリブでの対処能力が相当に試されます。出現するパワーアップはランダムです。局面に応じて最適な装備に換えづらく、運も絡んできます。当たり判定はシビア。自弾に当たってもアウトという仕様がさらに追い打ちをかけます。はっきり言って、自力でクリアできるのか(泣)。荒井はエミュのステートセーブ機能を使ってクリアしてやりました(おい)。
 もっとも、弄った感触は決して悪くありません。さっぱり先へ進めずとも、遊んでいるだけでも不思議と面白く、何度やられてもまた遊びたくなる魅力があります。

ラスボス。最後にふさわしい苛烈さで攻めてきます

 本作を動かすには「MSXべーしっ君」が必要です。「べーしっ君」はアスキーが販売していたMSX用BASICコンパイラーです。BASICプログラムの動作速度を飛躍的に上げることができました。「べーしっ君」と同じくアスキーが刊行していたMマガには、しばしば「べーしっ君」を使用するプログラムが掲載されていたものです。
 「べーしっ君」は広く普及するまでには至らなかった感があります。基本Mマガ中心の展開であったことと、何より、そこまでしてMSXを使いこなそうというユーザーが多くなかったためかとおもわれます。
 本作はオールBASICで組まれていながら、快速で動作します。これも「べーしっ君」のなせる技。その高い性能を体感できます。

無数の僚機が飛び立つエンディング。「R-TYPE」を彷彿させますな

 なお、紙面の印字が小さくてリストが見づらいところがあります。リスト1のマップデータ中のコンマは「'」ではなくて「`」です。間違うとあらぬ文字列がマップに出てくるので注意しましょう。
 それと個人的には、行番号は10刻みにしていただきたい(おい)。


*1:そのむかし「Dante2」の解説目当てに買った号に載ってましたw

*2:タイトル画面では「ちていじん」と表示されています。

*3:この画像を見てスプライトデータ間違って入力してたことに気づきました(汗)