荒井はもろ文系出身の人間ですが、化学実験の中和の概念ぐらいはわかります。というわけで本日ご紹介するのはMファン91年8月号掲載作品「中和~BTB溶液の性質~」です。
酸性の液体に同程度のアルカリ性の液体を加えると、水素イオンと水酸化物イオンが反応して水になり、液性が中性になるというのが、はなはだおおざっぱな中和の説明です。本作はそれをゲーム化したもの。画面に三つの液体が並んでいます。左が酸性で右がアルカリ性。真ん中の液体にこれらを適量加え、中和させるのが目的です。真ん中の液体の液性は色で判断できますが、pH値まではわかりません。色を見ながら左右の液体をだましだまし加え、どれくらい酸性が強いのか、アルカリ性が強いのかを探るところが本作の駆け引き要素です。MSX2ならではのカラーパレットを活かしたグラフィックが見た目にきれいですな。
中和をゲームにするという発想自体がユニークなのですが、ゲームに仕立てるために様々な工夫が凝らされています。液体を加える量の決め方はゴルフゲームのパワーゲージ式。なのでアクションゲームのような操作も求められます。さらに許された試行は5回まで。その手数内で中和できないと失敗です。中和までに要した手数が少ないほど高得点。これら工夫のおかげで、ゲームに緊張感が生まれています。
中和に成功しても失敗しても、5回の試行で一局が終わります。そのため終わりがあっけない感は否めません。ステージクリア制にして進むほど条件が厳しくなるとか、もうちょっと盛り上げるような仕掛けがあっても良いような気がします。
ところで「BTB溶液」とは、液性を調べるための指示薬のことらしいです。中和のなんたるかはなんとなく知ってましたが、こんな薬があるとは今の今までさっぱり知らなかったぜ(おい)。