何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「Sim Face」

お正月準備にいかがでしょう

 近年はすっかり目にすることもなくなりましたが、荒井のおじさんが子供だった頃、「福笑い」はわりと身近なテーブルゲーム*1でした。「たのしい幼稚園」とか小学館学年誌のふろくとかでそこそこ触れたようなおぼえがあります。凧揚げや羽子板・独楽回しと並んで、お正月にやる遊び、みたいな位置づけでした。


 念のため福笑いがいかなる遊戯か説明しときます。のっぺらぼうの輪郭が描かれた台紙に、プレイヤーは目隠しをした状態で、目鼻口といった顔のパーツが描かれた紙片を配置します。ひととおり置き終わったら目隠しを外し、できあがった顔の出来を鑑賞します。目隠ししてますから、パーツはだいたいあっちこっちにズレてます。それを見て「ヘンな顔だな!」とか「なかなかまともじゃないか」「もう顔じゃねーヨ!」等々、わいわい言って楽しむわけですな。
 福笑いをコンピューター上で再現するならば、プレイヤーにも目隠しさせればかんたんに済むのですが、さすがにそれでは身もフタもありません。というわけでゲームにするなら目隠しの代わりとなる工夫を凝らすこととなるのです。そのせいか、福笑いのコンピューターゲームとなると、なかなか数を見かけません。

眉毛配置中。見えていても狙い通りに置くのはなかなかむつかしい。

 ここでようやく本題。本日ご紹介するのはそのなかなか珍しい福笑いゲーム。Mファン91年8月号掲載の「Sim Face」です。
 画面上にのっぺらぼうの顔が表示されています。ここに両目両眉鼻と口を並べ、顔を作りましょう。福笑いですので、もちろん容易には並べられません。
 ゲームが始まると、画面左上から顔の各パーツが点滅しながら右の方に流れてきます。適当なところでスペースキーを押すと今度は下に移動します。また適当なところでスペースキーを押すと、そこにパーツが配置されます。つまりパーツの移動はUFOキャッチャー式。移動は速いので、狙い通りに配置するには反射神経も必要です。移動中はパーツの位置が見えますが、配置すると一旦消えてしまいます。これが「目隠し」の代わりとなります。
 ちなみにパーツが所定の位置に近いほど高得点で、外れるほど点は下がります。特に大きくズレると減点されるので、好成績を狙うなら要注意です。

目鼻や口がパチパチ動く結果発表。リリアさんも真っ青だぜ(おい)

 すべてのパーツを配置し終えると、消えていたパーツがすべて現れ、できあがった顔と成績が表示されます。このとき目や口がアニメーションでパチパチ動くのが非常に楽しいです。コンピューターゲームだからこそできる演出ですな。
 面が進むほど顔が大きくなり、所定の位置に並べるのがだんだん難しくなります。かくして全10面をプレイして、総得点を競います。

最終面10面。顔はこれくらい大きくなる。

 福笑いという伝統的遊戯を土台に、明快さ、遊びやすさ、テンポの良さ、演出の面白さ、スコア稼ぎ要素等を加えることにより、実に楽しめるコンピューターゲームとなっています。ちなみに作者さんはかの快作「キュウリだ!」の作者さん。ゲーム作りの巧さが光ります。

オールクリアの結果発表。スコアアタックがなかなかアツい。

 ついでに、荒井の知る他の福笑いゲームに「つぐ美のふくわらい大会」(電波新聞社MSXMSX2プログラム大全集II』)があります。こちらもグラフィックのカワイさ、パーツの動かし方、完成時のコメントの楽しさ等々、「Sim Face」に負けない秀作ですのでぜひ(おい)。

「つぐ美のふくわらい大会」。こちらの福笑いゲームも超オススメ。

*1:福笑いを「テーブルゲーム」と称するのは若干語弊があるな。