何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「タイフーンキャッチ」

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 今年の夏は台風や大雨にたたられましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。今回ご紹介するプログラムは「台風」を題材にしたアクションゲーム、月刊マイコン84年11月号掲載「タイフーンキャッチ」です。

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 ○月△日午後9時現在。東シナ海で発生した台風X号は那覇市の西北西420キロの海上を時速80キロの速いスピードで北北西に進行中。中心気圧1925ミリバール、中心付近の最大風速150メートル。九州地方は明日朝頃から暴風域に入る模様―。
 さて、この報告を受けたあなたは、台風を阻止すべくJET COPTERに乗り太平洋に飛び出しました。武器はSACK(=袋)のみ。これで台風を生け捕りしてしまおうという大胆な計画なのです。しつこい雷と、暴風雨圏にはくれぐれもご注意!!

 本作の目的は台風から日本列島を守ること。ストーリーの「ミリバール」*1が時代を感じさせます。プレイヤーはヘリコプターを操り、科学の粋を集めた対台風防災装備「袋」で台風を捕まえ「連行」し、北方領土あたりにある処分場に10個閉じ込めれば面クリア。ゲームは固定画面。DRAW文を駆使して描かれた日本列島が目を惹きます。キャラ紹介を兼ねたタイトル画面や、荒唐無稽な設定が、いかにも80年代前半のゲームっぽいです。おそらく当時のアーケードゲームも意識したのでしょう。


 はちゃめちゃな設定*2、オールBASICの遅さゆえ、一見クソゲーっぽいですが意外や意外、ゲームバランスはけっこう良好です。冗長さはありますが、単調ではありません。
 出現する敵は台風と雷の2種類。台風は画面右下の南海で発生し、日本列島目指して飛んできます。勢力に応じた「暴風域」があり、近づきすぎると巻き込まれます。雷は出し抜けに発生して自機を追いかけ回しますが、陸地に避雷針を建てることで、そちらに誘導できます。
 避雷針で雷を引きつけている間に、遠距離から台風に袋を投げて捕まえて、処分場に放りこむのが行動の基本ですが、ヘリには燃料というものがありまして、これがなくなってもやられてしまいます。燃料を補給するには、画面の左下にあるヘリポートまで行かなければなりません。自機の位置、台風との間合い、避雷針の建設、残り燃料等々、それらを勘案して、次に何をするかを瞬時に判断するのがこのゲームの肝です。


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 ルールはわりとややこしいにもかかわらず、何をすればいいのかがすんなりと理解できるのは、なんといってもビジュアルのおかげでしょう。表示されているものは演出であるばかりか、ルール的にも意味があるのがすごいところ。アイディアのユニークさとデザインの巧さに感心してしまいました。

*1:ヘクトパスカルのこと。そういや昔、ソニーが「ミリバール」なんて山用レシーバー作ってましたっけ。

*2:そもそもストーリーに現れる気圧や風速自体があり得ない。