何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「オストリッチII」




またプログラムを打ち終わったのでご紹介。
今回紹介するのは月刊マイコン86年4月号掲載「オストリッチII」です。
「オストリッチ」は「センチメンタルグラフィティ」等の作品で有名な
ゲーム制作者多部田俊雄さん初期の代表作です。
PCエンジン移植版「スプラッシュレイク」でご存知の方も多いことでしょう。
本作「オストリッチII」は、その「オストリッチ」の続編。
多部田さんは80年代からセミプロとして活躍しており、
パソコン雑誌でたびたび自作ゲームを発表していました。
特に月刊マイコンでは雑誌の広告にも登場するなど、名物ライターとして知られています。





本作は古き良きタイプの固定画面アクションゲーム。
オストリッチことダチョウを操り、水上に架かる足場を動きまわり、
宿敵エグモンをやっつけていきます。
武器は自慢のクチバシ。しかしこれで直接エグモンをつつくことはできません。
そのかわり足場にヒビを入れ、橋を落とすことができます。
落としたところにエグモンがいれば、足場もろとも水中へドボンという寸法です。
ただし自分がいるところを落としてしまうと、逆に自分がドボンです。
一度に多くのエグモンをやっつければもちろん高得点。
広範囲を落とすほど、多くのエグモンを巻き添えにできますが、
逆に自分の移動範囲も狭くなってしまうという諸刃の剣。
一方エグモンは落とされた橋を直しながら移動するので、
壊しすぎて足場が狭くなったときなど助けられることもあります。
プレイヤーにはエグモンの動きを見きったり、巧くおびき寄せることはもちろん、
どこを壊すかを見極める判断力も求められます。
この「ディグダグ」の岩石落としに通じる一網打尽の爽快感と、
強力な攻撃を仕掛けるほど自分が不利になるというリスクのバランス感覚が見事。
その敵が足場を直せるというルールも心憎いです。
メインリストはBASICですが、主要な処理はマシン語化されているので、
操作性に関してはさほどストレスがありません。





ゲームシステムは前作と大きく変わらないようですが、
新しく追加されたステージコンストラクション機能が「II」のゆえんとなっています。
つまり自分で好きな面を作って遊べるのが「II」一番の売り。
そのためかデフォルトのステージデータは4面までしか存在せず、
残りは自分で作って遊んでねという投げっぱなしな仕様です(笑)。





オールドMSXユーザーには「オストリッチ」は市販のパッケージソフトとして知られています。
前作「オストリッチ」は1984年にテープ版が日本コロムビアより発売されているのですが、
そのリストも実は月刊マイコンに掲載されていました。
80年代中盤までは、こんな具合に市販ソフトのソースコード
雑誌で発表されることもけっこうありまして、お金はないが時間はあるというユーザーは、
自分でリストを打ち込んで市販品と同じものを手にすることができました。
プロの作ったものとハイアマの作ったものに大きな差が無かった当時だからこそ、
現在のように膨大なデータを擁するゲームが作れなかった当時だからこそ、
このようなことができたのかもしれませんが、それ以上に何より、
プロとアマチュアの垣根が今以上に低かったからこそできたことのように思います。
当時のアマチュアがどうやってプロになったかの一例をここに垣間見ることができます。