何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「HALT」




キングコング2」をプレイしている裏で、一本プログラムを打ち終わってました。
今回紹介するのはEMGVTさん製作、ベーマガ88年6月号掲載の「HALT」です。
本作もEMGVTさんの本名で発表されています。
タイトル画面で「これは生と死について考えるゲームである。」
みたいなメッセージが表示されるんですが、要は何も考えずに遊べる横STGです。






本作はMSXにしては珍しく、敵がアスキーアートで構成されており、
それが大きな特徴となっています。
MSXにはスプライトやPCG機能があるため、アスキーアート
各種キャラクターを構成するという技法はあまり発達しなかったのですが*1
本作ではあえてアスキーアートを使うことにより、
グラフィックデータの大幅削減と動作速度の向上に貢献しています。
さらにEMGVT氏ならではのセンスによって作られたキャラはどれもカッコイイ!
スプライト以上にキャラクターを大きくできるので、見栄えや迫力も十分です。
スプライトは自機とその弾、背景の星に使われているくらいです。





プログラムはほぼBASICで組まれており*2
動作速度の限界こそ感じさせますが、それでも本作はなかなか遊べます。
それを可能としたのは、リストの短さとシンプルさゆえでしょう。
プログラムは非常に素直に組まれ、複雑なことをしていません。
全部で73行と短く、しかもグラフィックデータも少ないため
「こんなに短いのにこれくらいのSTGが作れてしまうんだ!」と衝撃を受けます。
STGを作りたいと思う初心者の方にとっては、解析すればよい教材となるでしょう。
必要な部分と不要な部分の見極めと割り切り、
そして残した部分の作り込みの巧さがEMGVTさんの真骨頂。
その一端は本作にも十分に現れています。

*1:この逆がMZ-700やP6やP8等のN-BASIC機種。こちらでアスキーアートによるキャラクター描画が発達したのは、スプライトやPCGが使えなかったことも関係していると思われます。

*2:背景の星のスクロールにマシン語が使われているくらいです