何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

全力で移動する行為(またはどこかへ行くこと)

 そのむかしあるユースホステルで夕食が一緒になったさる人が、「自分は『旅』をしているのに、それを『旅行』と言って欲しくない」と憤慨しておられました。旅人は「旅行」という行為を下に見ている節があります。
 かつて荒井もそんなふうにおもっていたことがありました。しかし歳を取った今、それもどうだかなぁとおもうようになりました。


 そもそも「旅」と「旅行」の違いとはなんなのでしょう? 自らの成長を目指し時に試練や苦難を伴う創造的な行為が「旅」、物見遊山を趣旨とする消費的外出が「旅行」…というところでしょうか。
 しかし「旅」に出たからといって成長できるとは限りません。「旅行」でも深い見聞や体験を持ち帰ることはできます。ですので、果たして「旅行」よりも「旅」の方が高尚である、ともおもえないのです。
 「旅」と「旅行」の線引きは極めて恣意的です。さっきの違いも、勝手にそんなイメージを抱いているだけにすぎません。いわば自称旅人の思い上がりだよな、と。


 それが「旅」と呼ばれようと「旅行」と呼ばれようと、自分は未知を求めて已まない生き方ができればいいなぁとかんがえております。