何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

鳥海湖に行ってきた(笙ヶ岳もあるでよ)

俺の知ってる鳥海山ふたたび。左のピークが笙ヶ岳。
あのへんを歩いてきました。

GR III。Photoshop Elementsで縮小


 というわけで先日の良く晴れた週末、鳥海湖に行ってきました。鳥海湖は鳥海山の中腹・御浜にある火口湖です。去年湯ノ台コースを登った際、あざみ坂から遠目に眺めるうち、久々に近くで見たくなって行ってきたというわけです。

あざみ坂から見る鳥海湖。去年撮ったやつ

 鳥海湖は初めてではありません。中学三年生の時、学校行事で一度行ったことがあります。当時荒井がいた中学校は荒れていて、生徒らのガス抜きとして学年登山行事が組まれたことがありました。その行き先として選ばれたのが鳥海山。確か9月のことで、吹浦口こと大平*1から御浜まで登り、そこで昼食にした後、鉾立に下りて来るというルートでした。かれこれ三十何年前のことです。
 というわけで当時のことをおもいだしつつ、今回も当時と同じルートを選択。ただしもっと歩きごたえが欲しかったので、近場にある笙ヶ岳にも足を伸ばすことにしました。

車でいっぱいの鉾立。完全に出遅れた。

 まず駐車場の確保に苦労しました。登山口に近い大平の路肩はすでに車で埋まって停めるすき間もありません。だったらこちらはどうだと鉾立に向かったらもっとすき間がありませんでした(泣)。駐車場から車が溢れ、道路まではみ出しています。ビジターセンター近くの道路には路駐の縦列が何十メートル。仕方ないので荒井もその列につながります。中学生の時は貸し切りバスで行ったから、駐車場の心配をしなくてもよかったんだ…
 ここは天下の百名山、しかも快晴の週末とくれば登山客が殺到するだろうなと予想はしていましたが*2、まさかこれほどまでとは。週末の鳥海山を甘く見てはなりません*3
 ともあれ鉾立の路上(おい)に車を置いて、そこから歩いてブルーラインを2キロほど下り、県境を越え大平へ移動。9時前に大平登山口より行動開始です。

伝石坂をひた登る。振り返ると大平山荘が見えた。
奥には観音森と小砂川と日本海

 大平からは見通しのない茂みの中をひたすら登ります。中学生当時、地味な登山道だなとおもったものですが、やはり地味です(おい)。ここは伝石坂(つたいしざか)なる難所で、急な登りが250mほど続きます。

仁賀保方面の眺めとひろびろとした河原宿。こういう天気の時にばかり登りたい

 登り切る頃には茂みの背が低くなり、一気に展望が開けます。眼下に庄内・仁賀保の田んぼが広がり、日本海には飛島が浮かびます。秋田側に目をこらせば、男鹿半島も遠望できました。ここからは気持ちのよい道で湿原を抜け、河原宿を横断。愛宕坂を登り切れば、程なく御浜。目指す鳥海湖は目の前です。





 御浜は名前のとおり鳥海湖のほとりで、山頂までの中間点にあたります。大物忌神社が営む山小屋もあり、鳥海登山の拠点の一つとなっています。あたりでは多数の登山客がひと休み中。小屋の裏から見下ろせば、いよいよ鳥海湖とご対面です。

三十何年ぶりの鳥海湖。奥に月山も見えました。

 三十何年前、荒井は鳥海山について何にも知りませんでした。ろくな予備知識もないまま標高1700mの山中にたどりついて結構な規模の湖面を目にすれば、そりゃびっくりするというものです。まさかこんな高いところに湖が。かくして鳥海湖は強烈に荒井少年の記憶に焼き付いたのでありました。

どんどんと鳥海湖に降りてるところ。要は奴らがうらやましかった(おい)

 今回はここから笙ヶ岳を目指します。対岸の登山道に合流するため鳥海湖の近くまで下り、湖面の西側を進みます。
 件の学年登山での、昼休憩中の光景がおもいだされます。山小屋裏で、持参したカロリーメイトとチーズ*4の昼食にしていると、いつの間にやら、悪ガキども数人が山小屋から湖まで降りていました。そろそろ休憩が終わる頃、奴らは急いで山小屋まで戻ってきたのでありますが、湖面は手が届きそうなほど近くに見えるのに、登ってくる連中が豆粒のように小さいのを見て、意外に高さがあるとおもったものでした。

下から見上げたところ。奴らこんなところを上り下りしてたのか。

 そのとおり、山小屋のあるところから湖面までは100m近くの標高差を一気に下ります。しかもあまり道がよくありません。通る人もいないのか、道は半ば草に埋もれかけ、踏み跡を注意深く観察しないと、どこを歩けばいいのかもよくわかりません。果たして本当に道だったのか(汗)
 底に着いて山小屋を見上げるとはるか上です。今回の道中、ここが一番気を遣いました。





 湖のほとりからは新山の溶岩ドームがくっきりと見えます。外輪山に至る稜線は秀麗かつ急な勾配を描きます。自分はあのへんを登ってあのてっぺんに立ったのか。去年登った道を別のところから眺めると、格別の感があります。コレがよくて山に登ってるんですよ。
 鳥海湖の南から長坂道に合流してひと歩きすると、程なく笙ヶ岳にたどりつきます。

長坂道から見る笙ヶ岳と山頂。いちばん左のちょっと低くなったピークです。

 遊佐のあたりから見ると、鳥海山は双耳峰のようにも見えます。東側のピークが新山で、西側のピークにあたるのが笙ヶ岳です。近年はやまがた百名山にも指定されていたりもしますが、やはり鳥海山の一部なので*5、無理矢理感が漂います(おい)。ちなみに標高は約1635m。新山より600mほど低いです。

ガスで見えない笙ヶ岳。
くやしいから長坂道から撮った新山と鳥海湖の画像も貼っとく

 庄内方面の眺めがよかろうと期待して向かったところ、ちょうど着いた頃に西の方から盛んにガスがかかってきやがりまして、肝心の眺めはいまひとつでした(泣)。新山を眺めつつ昼食にした後、さっさと山頂を後にします。

三十何年前を偲んだ昼餉

 笙ヶ岳からは長坂道で再び御浜に戻り、象潟口ルートで鉾立に向かいます。あとはひたすら下るだけ。今回は新山山頂を踏もうと欲張らずに余裕を持たせた行程だったため、昼下がりには無事下山、稲倉山荘やビジターセンターを見物することもできました。

鉾立目指してひた下る。
こんなとこよく学校指定の外履きで歩いたもんだな

 それにしても一度歩いてはいるはずなのですが、驚くほど何もおぼえていません(おい)。当時山の上から庄内平野や象潟が見えたおぼえはありませんし、河原宿や賽の河原の光景も「こんなどごあったべが?」という有様です。天気のせいかもしれませんし、当時山歩きが趣味でなかったからなのかもしれませんし、友達とのおしゃべりに夢中であたりが見えていなかったのかもしれません。いずれにせよ、当時の荒井は何も見ていなかったんだなぁと苦笑したのでありました。

賽の河原。一度見てはいるはずなのだがさっぱり記憶になかった(汗)

 鳥海山随一の人気コースですから、道は非常によく整備されてこそいれど、やはり山ですから平地のようには歩けませんし、それなりに堪えます。山登りが好きな生徒たちばかりでもなし、そもそもあの学年登山は果たしてガス抜きになったんだろうか?と過ぎた過去が心配になりました。
 とはいえキツかったとか疲れてイヤになったという記憶はありません。なかなか楽しかったということだけはよくおぼえています。だから三十何年の時を経て、また同じコースを歩きたいという気になったのでしょう。どうやらあの頃から、荒井には山野郎の素質があったのかもしれません。

奈曽渓谷と山頂方面を眺める。道中、新山の画像はやたら撮った

 ついでに、どこも涸れたり量が少なかったりで、コースマップ上に記載された水場は今回どこも使えませんでした。おそらく9月という時期ゆえの事情でしょう。水多めに持って行って助かったぜ。


 例によってコースタイムは以下のとおりです。距離にして12キロ少々。周回ルートは最初から最後まで飽きずに歩けて良いですな。


8:33/鉾立-8:58/大平口-9:07/一の宿-9:24/みはらし台-9:52/とよ-10:04/河原宿-10:19/愛宕坂-10:34-10:47/御浜-11:05/鳥海湖-11:07/長坂道-11:24/大平分岐-11:51-12:15/笙ヶ岳-13:12/御浜-13:39/賽の河原-14:17-14:25/奈曽渓谷展望地-14:30/鉾立口

*1:「おおだいら」と読むことをつい先日知りました。「おおひら」とばかり読んでたよ(汗)

*2:その後知った情報によれば週末は午前7時には駐車場が埋まるらしい。

*3:ちなみに大平山荘前はガラガラでした。登山口から微妙に遠いせいなのか。

*4:カロメは口の中の水分をごっそり持ってくため、山用の食事としては意外と扱いづらいことに今さらながら気付きました。旨いけどな。

*5:笙ヶ岳付近を西鳥海とも称するそうです。