そのむかし荒井がいた中学校には、VSバザーなんて行事がありました。生徒おのおのが家にあるいらない物を持ち寄って開くフリーマーケットみたいな催しです。生徒は出品された物を買うこともできました。
そのバザーにて、同級生のジュンイチ君がやけにハッスルした様子で「まだお金はある!」と何度も会場と教室を往復していろんなものを買った挙げ句、最後に使いもしないだろうヤカンを買ってきて、「どうだ!」と頭上に高々と掲げて見せびらかすのを見たとき、荒井は悟りました。あぁ、買い物とは熱病に浮かされるようなものなのだと。