80年代のゲーム制作において、画面スクロールはプロアマを問わず重要なテクニックでした。プログラミング初心者がまず作るスクロールゲームは、多くの場合、スキーゲームやドライブゲームだったものです。というわけで「アクションゲーム38」にも、そうしたゲームが3本収められています。
一本目「スキーゲームPART1」は、その名の通りのスキーゲーム。カーソルの左右でスキーヤーを操り、旗を取っていきます。制限時間は1分。赤い旗は高得点。時間内にできるだけ多くの旗を取り、その得点を競います。
実はこのゲームも、いわゆる「スクロール表示」はしていません。スプライトによる旗を移動させることで、それらしく見せているだけです。しかしながら挙動がスピーディで、流れているかんじはよく出ています。典型的なスキーゲームながら、時間制限のおかげでテンポ良く遊べるのもよいところです。
二本目は題名そのままの「スキーゲームPART2」。こちらもスプライトによるスキーゲームです。今度は障害物の木を避けながら、旗を拾っていくのが目的。木にぶつかったり、旗を取り逃したらゲームオーバーです。ルールがよりスリリングになったわけですな。
「PART1」とのいちばんの違いは、使うキーがスペースキー一つだけになったこと。スペースキーを押すごとにプレイヤーの移動方向が切り替わります。「PART1」よりも移動の自由がきかず、自在に滑るためにはより細やかな操作が必要です。ワンキーゲームならではのこのもどかしさが、ほどよい難易度と面白さを与えています。
三本目「ドライブゲーム」は見たまんま。障害物だらけの悪路をひた走るゲームです。こちらはスプライトではなく、テキストによるスクロール表示を実現。テキストで構成された道路が下から上に流れます。
本作では道路に障害物が落ちているだけではなく、一定時間ごとに道幅が狭くなるというギミック付き。ここに他と違うものにしようとする工夫が見られます。
スキーゲームやドライブゲームは作りやすさゆえ、自作スクロールゲーム定番中の定番でした。それだけに誰が作っても似たものになりやすく、パソコン雑誌のオリジナルプログラムコーナーに掲載されるためには、他とは差を付けるための工夫が必要でした。実際、掲載された作品を鑑みると、やはりひと味違う何かを備えていたように記憶します。
なお、「スキーゲームPART1」と「PART2」には、誤植と印刷由来のバグがあります。「PART1」は書籍通りに入力すると、キーの左右が入れ替わってしまいます。「PART2」は印刷ミスでスプライトデータの一部が読めません。修正箇所を以下に示しときますのでどうぞご参考に。
「スキーゲームPART1」:150行を以下のように変更。
150 DEF FNX(S)=VAL"MID$("111011121",S+1,1))-1
「スキーゲームPART2」:510行の一部が欠けている。正しくは以下のとおり。
510 DATA 01,01,00,01,01,01,03,05,03,03,06,0C,06,02,0F,F8