何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「メインイベント」




 またプログラムを打ち込んだのでご紹介。今回ご紹介するのはログイン1985年11月号掲載「メインイベント」です。
 内容はご覧のとおりのプロレスゲーム。現在格闘ゲームといえば「ストリートファイターII」に代表される無差別格闘・ストリートファイトものが主流となっていますが、80年代中盤まで、格闘ゲームといったら多くはプロレスゲームでした。それはおそらく当時はプロレスがもっともなじみのある格闘技で、さらにゴールデンタイムのテレビ放送等で一般人の人気も高かったからだと思います。





 さておき本作は非常にオーソドックスなプロレスアクションゲーム。プレイヤーは主人公のレスラーことローブインを操り、AWGPのリング上で、並み居るレスラーと勝負を繰り広げます。
 敵レスラーは「叉焼力」「ミルク・ホーガン」「アンドレジャイアンツ」等、80年代当時の人気レスラーのパロディ。登場時にはどこかで聞いたような入場テーマまで流れます(笑)
 プロレスの魅力である多彩な技の数々はもちろん、ロープアクションも可能なら、場外乱闘ももれなくフィーチャー。これがMSX1用で、オールBASIC、RAM16KBで動くのも驚きです。限られた容量にプロレスアクションのおいしいところを詰め込んだ意欲作です。





しかしこのゲーム...いまいちおもしろくありません。
理由は何と言っても「勝てない」こと。

 プロレスゲームの醍醐味は、なんといってもレスラーを思うままに操り、派手な技を決めまくってカッコよく勝つこととだと思います。このゲームの場合、かかる技は相手との間合いとかけるタイミングで決まります。
 格闘ゲームによくある繁雑なコマンド入力が必要ないのは長所でもあるのですが、オールBASIC由来の操作性の悪さと*1、下手に凝ったグラフィックゆえ、この間合いとタイミングが非常に判りづらい上取りづらく、思ったように技が決まりません*2。さらに相手に一度技を決められるとなかなか逃げられず、ズルズルと連続で技を決められ続け、いつの間にやらフォール負け。
 確かに85年制作のMSX1用打ち込みプロレスゲームとしてはかなりの力作なのですが、こうした問題ゆえ痛快と呼ぶには物足りず、今遊ぶには堪えないと思います*3






 ここで比較としてもう一本、16KBで動くMSX用プロレスゲームを紹介いたします。
 こちらはMSX・FAN89年6月号に掲載された「COUNT3」。アクション性こそ「メインイベント」より低いものの、そのかわり「技を魅せること」に大いにこだわって作られています。
 リング上のレスラーのグラフィックは「メインイベント」に及びません。ただし判定が非常に判りやすく、格段に技が掛けやすいのです。
 相手レスラーと巧く組み合えば、使える技が画面上に文字で出てくるので、一定時間内に選んで決定すれば即発動。そしてここが本作の売りなのですが、技が決まると(または決められると)レスラーが大写しになり、技をスプライトの華麗なアニメーションで魅せつけてくれるのです。


 「メインイベント」はプロレスアクションの王道というべき作品であるものの、それはMSX-BASICにはいささか荷が重いものでした。逆に技を魅せることに絞り込み痛快さと迫力を再現してみせた「COUNT3」の方法論には、かの名作「メタルギア」に通じる発想の巧さを感じます*4


 とはいえなんだかんだで勝てないのが悔しくてズルズルとやり続けた結果、最強の敵「アントニオ田舎」を倒してしまうくらい遊び込んでしまったので、「メインイベント」も、それだけの魅力がある作品であることは間違いないでしょう。





 ところでこの「メインイベント」、クリアすると何かのおまけがあるようなのですが、エンディングで「Undefined line number」エラーが出て止まってしまいます。リストを確認するとどうやら誌面に誤植があるようで、エンディング処理で存在しない行番号に飛ぶようになっていました。
後の号にフォロー情報が載っていると思うのですが、ぜひご教示をお願いいたします。

*1:リストの大半は座標比較用のIF文と、PUTSPRITE命令で占められています。さらに悪いことにはREM文一切なし。

*2:もっとも、この「見切り」に慣れることが本作の駆け引きとなっているのだが。

*3:その後戦い方が判って、ぼちぼち勝てるようになってくると面白くなってくるんですが、そこに至るまでにはそれなりの遊びこみと慣れが必要です。

*4:技の選択方式を考慮するに、おそらくテクノス・ジャパンの「ザ・ビッグプロレスリング」に相当な影響を受けたものとおもわれます。