何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「くらのすけ」




また一本プログラムを打ち終わったのでご紹介。
今回紹介するのはマイコン85年8月号掲載の「くらのすけ」です。


作者は以前ここで紹介した「宇宙の郵便屋ゲーム」のKimcoさん。
Kimcoさんは実力派のプログラマーで、ベーマガ等の雑誌でときおり
プログラミングやゲームデザイン講座を開いたり、
数々のツールを発表したりと、セミプロ的な存在でありました。





そんなKimcoさんが贈る本作はアクションパズルゲーム
リストは2本構成で、1本はマシン語。例によってテープ専用です。
主人公くらのすけを操り、全てのロボットを押し動かして
所定の位置に納めればステージクリア。
当時よくあった「倉庫番」や「フラッピー」タイプの固定画面パズルです。
しかしそこはKimcoさん、ただの倉庫番パズルにならない工夫がされています。


ロボットを動かすには「コンフューザー」なるアイテムで動きを止めてやる必要があります。
設置したコンフューザーにロボットが乗れば行動を停止し、押せるようになります。
ただしこのコンフューザーは一度に一個しか使えず、一体のロボットを止めると
次のロボットが動き始め、ロボットを押している間、次のがどんどん移動してしまいます。
ですからロボットを止める位置を考えたり、あらかじめブロックを動かし
次のロボットを足止めしておくといった作戦が必要となります。
さらに移動中のロボットとぶつかったり、敵のクレーンに捕まったり、
残り時間が無くなるとワンミスなので、うかうかしてられないという寸法。
そこでどう動くかを瞬時に考え、どう行動するかが頭の使いどころです。





ゲームは全30面。それで飽き足りなかったら、ステージエディットで好きな面を作って遊べます。
ステージエディットは当時のパズルゲームではよく見かけた機能です。
ステージセレクト機能も完備で、いつでも好きな面を遊べるのはありがたいところです。
むしろできあいの面を一つ一つクリアしていくより、
ステージエディットと面セレクトでいろいろな面を作って解いてというのが、
このゲームの楽しみ方でしょう。
ついでに作り込まれたスプライトキャラのアニメーションも愉快でいい味出してます。





様々な工夫や機能がてんこ盛りで、さすが実力派らしい意欲作ですが、
ゲームとしては問題もあります。
まずは操作性。くらのすけの移動処理はマシン語でやっているのですが、
キー反応が良すぎて、設置した直後にコンフューザーを回収してしまうことがしばしば。
おかげで微妙な操作ができず、ストレスがたまります。
次に敵クレーンのアルゴリズム。敵の追いかけがきつくてパズルに集中できません。
もっとも「フラッピー」のエビーラ然り、アクションパズルゆえの宿命ですけど(泣)。
失敗すると罵倒されるのも、当時のゲームの常とはいえ、やる気が削がれるところです。





確かによく工夫されて組まれた作品ではありますが、
飽くまで既存の作品の小アレンジにとどまっており、
新しい魅力を生み出すまでに至っていないという印象を受けました。
よくも悪しくも当時らしいアクションパズルゲーム、といったところでしょうか。