何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

ライフゲーム




20数年前、コンピューターは科学少年の格好のおもちゃでした。
今回はそんな事を思い出させる作品をご紹介。


ライフゲームとは、フィールド上に一定の法則で生成・消滅を繰り返す「石」を配置し、
その変化パターンを楽しむというシミュレーションゲームです。


・「生成の法則」
 あるマスの周囲に石が3つあれば、次の世代ではそのマスに石が生成される。
・「生存の法則」
 ある石の周囲に他の石が2個または3個あれば、その石は次の世代でも生き残る。
・「死滅の法則〜過疎と過密」
 ある石の周囲に他の石が1個以下しかない場合、または4個以上ある場合、その石は死滅する。
ルール自体はパーソナルコンピューターが普及していない頃、
イギリスの数学者J.H.コンウェイによって考案されたものなのですが、
そのライフゲームMSXで再現したのが本作「ライフゲーム」です。
MSX・FAN1988年6月号掲載で、制作者はHiroshiさん。しかも驚くべきことに1画面プログラム!
鉛筆と方眼紙に頼らずとも、面倒な計算や描画をMSXに任せ、
プレイヤーはおいしいところだけをいただけるという寸法です。


ライフゲームは様々な面白パターンが研究されてまして、これを再現して遊ぶのもいいのですが、
気の赴くままに石を置き、動きを試してみるというのもまた一興です。
ただしあまりに凝ったパターンを描くと、「過密の法則」によって、
一瞬で消えることがほとんどだったりして(笑)。
ともあれ、石の描く幾何学模様を楽しむという、鑑賞ソフト的な遊び方も、
ライフゲームの醍醐味と言えましょう。





あれこれ遊べる一画面「ライフゲーム」ですが、解像度の関係でマス目が32x24しかなく、
大きなパターンが作れないという弱点がありました。
これを克服したのが、89年1月号に掲載された「大ライフゲーム」です。
こちらは「ライフゲーム」に触発された編集部員が作った改良版で、
マス目が58x58と少し広くなったほか、作ったパターンをセーブできるようになったりしています。
広くなったおかげで有名な無限増殖パターン「グライダー銃」が
再現できるというのが一番の売りで、掲載号ではそのパターンも紹介されています。


チューリング完全で様々な計算アルゴリズムが再現可能だとか、群生シミュレーション等々、
ライフゲームに数学的に深いものがあることを知ったのは、つい最近のことでした。
Mファンの「ライフゲーム」は、当時のパソコンホビー誌が、
こうしたものを気軽に親しみやすく紹介していたという例なのですが、
それはコンピューターのみならず、科学への門戸のひとつとなっていたのかしれません。


追記。制作者さんのサイトを発見したのでご紹介。
ライフゲーム」の方はここでダウンロード可能です。


http://www.geocities.jp/hiroshikoubou/page015.html


ライフゲーム〜博工房」


どこかで見覚えのある方だなと思ったら、
「カッチンパズル」の作者さんでありました。こちらも面白いんでおすすめしときます。