何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

北の極点

昨日北極点なんて話をしましたので、ついで戯れ言をあれこれと。
コンピューターゲーム「イース」の主人公、アドル・クリスティンは、
その最後の冒険で北の極点を目指したという設定になっているんですが、
実はこの設定が、地動説を前提としていることに気付きました。


「北の極点」、つまり地球のてっぺん(=地軸の一端)という概念は、
地球を回転する球体だと見なす地動説でなければあり得ない概念です。
地動説自体は、紀元前3世紀にギリシアのアリスタルコスが提唱しているのですが、
人類が本格的にこの概念を獲得するのは16世紀の大航海時代以降、
マゼラン隊やドレーク船長が世界周航を成し遂げ、
コペルニクスの「天体の回転について」が認められ、
さらにケプラーやニュートンといった科学者が出現するまで、
実に1700年以上の時を待つこととなります。


少なくとも地動説が受け入れられるためには、理屈はもとより、
「世界一周を可能とする造船技術と航海術」「実際に世界一周してきた奴」の出現を待つ必要があったわけでして、
そういう観点でゲームを検証してみますと、「イース」の世界の住人が、
それほどの技術を手にしているとは思えませんし、実際アドルも世界一周までは成し遂げていません。
*1
そう考えると、あの世界で地動説がどれほど受け入れられているかにはちょっと疑問が出てくるわけです。


かなり理屈っぽい話になりましたが、世界観が優れていると言われている「イース」も、実は当時のお決まりで、
設定はそれほど詳細に作り込まれているわけではない、というお話でした。


ついでに、レアさまには欠かせないハーモニカなんですが、
現在のような形のハーモニカは19世紀になってから発明されたものですので、
本来はパンパイプか笙にでもしたほうが、技術考証的には的確なわけです。
ゲームと現実世界を一緒にするのもまぁ、馬鹿げた話ではあるんですが。


今度出る新作はとりあえず下馬評待ち。

*1:ゲームの設定によれば、南はアフロカ大陸中央、東はティグレス川まで足を運んだことになっている。有翼人文明?そんなものはノーだウィリアム。