「レベルを上げて物理で殴る」。力任せの身もフタもない解き方として、冗談交じりに語られる攻略法ですが、CRPGは少なからず、そういう楽しさを備えているとおもいます。強すぎてこんなのどうやって倒すんだと途方に暮れるような強敵。レベルを上げまくってそんな奴らを一気に蹴散らす痛快さ! まともに戦うと強すぎるボス敵。不必要なまでに鍛え上げたキャラで弱ザコ同様ひねり潰すカタルシス! あんがいこれがやりたくてCRPGやってるという方も多いんじゃないでしょうか。てか荒井がそうだ(おい)。
というわけで今回ご紹介するMファン89年9月号掲載作品「大魔竜ハデス」は、そんなCRPGの大きな魅力の一つである「成長」に的を絞ったRPGです。
目的は明快です。平和な国を乱す悪い奴・大魔竜ハデスをやっつけること。プレイヤーは勇者となり、打倒ハデスのため旅立ちます。マップは一直線。西端が拠点となる町で、東端がハデスの魔城。マップを歩いているともれなく敵が出現しますので、戦いましょう。勝てば勇者が少し成長し、負ければゲームオーバー。城に近づくほど敵は強くなります。減った体力は町に戻れば全快します。例によってスタート直後の勇者は弱いので、まめに町に戻って体力を回復しながら弱ザコ相手に戦闘を繰り返し、着実にキャラを育てていくのがコツです。そして満を持して魔城に乗り込めば、いよいよハデスとの対決です。
一画面プログラムなので、あれもこれもと欲張ることはできません。この作品のいいところは、CRPGの成長要素をぐっと簡素化して手軽に楽しめるようにしたことです。そのおかげで、CRPGの大きな魅力の一角をなす、キャラクターを育てる楽しさや、強くなって敵を蹴散らす爽快感を、存分に味わえます。