ようやく打ち込みとデバグが終わったので、久々にプログラムのご紹介。
今回はログイン87年3月号掲載MSX用ARPG「DARK ROAD」。
隠された海賊の宝を求め、広大な洞窟を探検するというゲームです。
洞窟内には扉を開けるための鍵や怪物を倒すための武器、
罠を破るためのアイテム等もあり、これらを巧く使わなければ、
宝物にはたどりつけません。
言うなれば単なるピープホール式の迷路ゲームで、
当時の打ち込みプログラムではよく見かけたものなのですが、
本作は様々な点において他の作品とは一線を画しています。
まずはブラインド処理を採用していること。
探検するのはまっ暗な洞窟で、あたりを照らすのは手持ちの懐中電灯一本のみ。
自分には懐中電灯が照らす前方しか見えないというわけで、
プレイヤーの向きや地形によって見える範囲が変わります。
「イース」や「ハイドライド3」のようなスポット処理ではなく、
状況によって見える範囲が変わるのが凝ってます。
遊ぶならマッピングは必須ですが、視界が利かないため、
マップを作るのはなかなか大変です。
それだけに洞窟の姿を明らかにして、効率的な廻り方を
見つけだす面白さやカタルシスはなかなかのものです。
プレイヤーは体力が許す限り動き回れます。
戦闘で全ての体力を失うとゲームオーバーです。
体力は洞窟内随所にある水場の水を飲むことで回復します。
水場の近くに来ると床の苔が多くなってくるとか、
水音が大きくなってくるというヒントの出し方は、巧くて凝っているの一言。
さておきここにさらにひと味加えているのが「体温」パラメータです。
「体温」も戦闘や探索等で上がるのですが、上がりすぎると体力に響きます。
水は常に水筒で携帯しており、プレイヤーはこれを消費しながら行動しています。
無くなれば体温は上がる一方で、つられて体力も減ってしまいます。
水筒は水に入れば補充できますが、
長時間入っていると下がりすぎて、低体温症で死ぬため注意が必要です。
ですからプレイヤーは常に手持ちの水の残量を気にしたり、
水場の確保、体温の維持等を考えながら行動しなければならず、
それが本作をより面白くしています。
鍵が常時一つしか持ち歩けないというのもミソ。
何も考えずにドアを開けていると、不必要に迂回や彷徨して消耗したり、
鍵が足りなくなったり等で、最悪ハマってしまいます。
このためのマップ構成がよく考えられていて、パズルを解くような面白さが味わえます。
ただしログイン誌でも指摘されていたとおり、単調な行ったり来たりが多く、
中だるみしがちなのがちょっと残念なところ。
もう一つ見逃せないのはアニメーション処理。
本作では豊富なスプライトパターンやPCG書き換え処理を利用して、
様々なキャラクターがアニメーションを見せてくれます。
この手のゲームはともすれば地味で迫力に欠けてしまいがちなんですが、
このアニメーションが「動き」を添えています。
全体的に見どころの多い作品なのですが、非常に残念なのが操作性。
正確なマップを作るためには「歩測」がどうしても必要になるんですが、
本作ではキー反応が悪くてキーを押しても動いたり動かなかったり、
さらに一歩動いたことが確実に判るという作りではないので、
長い一本道等、変化のない通路のマッピングはほぼ不可能です。
この手のマッピング必須、さらに視界の狭いピープホールゲームで、
歩測ができないことは、かなり致命的な欠点となりえます。
結局マップを手書きするのはあきらめ、マップデータを直接読み、
画面上にプロットするという形で全マップを作ってしまいました(泣)。
他がなかなかいいだけに、この操作性の悪さだけはつくづく残念なところです。