何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「オート・キャノン」




「3-D MAZE」「STAR BREAKER」「君も国会議員になろうぜゲーム」等々、
これまで何度かネタにしている徳間のプログラム選集「FOR MSXベスト50」ですが、
実は収録作品は50本ではなく、もう一本、幻の作品が掲載されています。
今回紹介するのはその一本「オート・キャノン」です。


「FOR MSXベスト50」は「テクノポリス」や「プログラムポシェット」に
投稿された作品で構成されていますが、一冊の本にまとめるにあたり、
特集記事としてゲームプログラム入門が追加されています。
「オート・キャノン」は、そのプログラム入門講座のお題として作られた作品でして、
投稿作品50本のうちに含まれず、テープ版にも収録されていません。
ですから本当に知ってる人しか知らないというわけです。


ゲーム内容はご覧のとおりの砲撃シミュレーションゲームで、
プレイヤーは発射位置・射出角度・弾丸速度を指定できる大砲を操作し、
遠く離れた敵要塞を狙い撃つという内容です。
1面に付きチャンスは3回で、それ以内に命中できなければゲームオーバー。
当たれば要塞の位置が移動し、次の面へと進みます。
ベーマガの「とりでの攻防」然り、この手の作品は弾道計算以外は特に難しい技術を必要とせず、
比較的簡素な命令だけで作れるゆえ、ゲームプログラム入門としてうってつけというわけです。
もとがサンプルですから、グラフィックは必要最小限、効果音はなしというシンプルさですが、
ルールは非常にわかりやすく、ちょっと遊び込んでしまいました。単純ゲーム侮りがたし。
コツがわかれば失敗が少なくなるので、気が付くと意外に長くプレイしてしまいます。


さて、件のプログラム入門はBASIC覚えたての初級者向けに書かれているのですが、
アイディアをまとめ、詳しい仕様を決め、それをフローチャートに落とし込み、
プログラム化するという、基本中の基本の流れが具体的にわかる構成で、
一読すると「プログラミングとは構想をはっきりさせて、わかるように伝えることだ。」という、
プログラミングのなんたるかが理解できるような記事になってます。
「命令を覚えはじめたばかりなら、あまりハイレベルな
 ものを作ろうとするのはとりあえずあきらめたほうがいい」
「他人が見たら『くだらない』と思うようなゲームでも自力で作ってみることが大切なのだ」
「最初は単純なものから作るほうがいいのだ。」等々の記述は、現在でも通用するのではないでしょうか。
第一歩は「HelloWorld.」ですしね。





さてこのゲーム、簡単な攻略法を見つけてしまいました。
射出角度を水平に近くして、弾を最高速で打ち出すと、遠くの要塞でも、
けっこうあっさりと撃破できてしまいます。
なるほど、放物線射撃よりも水平射撃の方が強力なわけで。