何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

与蔵峠に行ってきた


以前より気になっていた、与蔵峠に行ってきました。
与蔵峠は山形県は最上郡鮭川村と旧平田町の間にある峠で、
延喜式」の昔には、すでに官道として用いられていたという歴史ある道です。
板敷越え、青沢越えと並び、最上地方と庄内地方を結ぶ道路として利用されていたのですが、
明治初頭に磐根新道こと、国道47号線が作られたのを機に衰退し、現在に至ります。
それでも峠道は登山道として残っておりまして、峠までは比較的容易に行けるようになっています。
案内看板が充実しているのはもちろん、峠道と平行する形で、
電線の鉄塔がいくつか建っていますので、迷う心配はありませんでした。


それにしてもこの峠、とにかく風景が素晴らしい。
古代の峠の特徴なのですが、道が尾根を通っていますので、
林が切れたところからは、抜群の展望が広がるのです。
峠道からは新庄の盆地はもちろん、鳥海山に月山を見渡すことができます。
庄内平野まで見えたときには言葉を失うほどでした。
最上地方の山奥から、庄内平野が見えるとは!
与蔵峠は、確かに最上と庄内をつなぐ道だったのです。
そして何より、ブナ林の見事なこと! 登山道はほぼ全行程がブナ林の中を通ってますので、
存分にブナの美しさを堪能できたのでありました。
途中ですっころんで、カメラのレンズ保護フィルターを破壊するという事故はありましたけど(苦笑)
まぁ、FM3Aを破壊しなかっただけよしとするか...


鞍部には峠の名の由来となった、与蔵沼と呼ばれる小さな沼があります。
ひとまず本日は沼を見に行くのが目的でしたので、
ここで昼にした後、来た道を引き返してきました。
峠歩きには絶好の日和だったのですが、行くときも戻るときも、登山道で荒井以外の人間とは、
一人もすれ違いませんでした。


辺鄙な山奥で、しかも衰退して久しいというのに
こんな具合に今なお峠に行けるのは、与蔵沼と鉄塔のおかげでしょう。
それと最上と庄内を結ぶ数少ない道の一つであることは現在も変わりないため、
村では手入れや整備に力を入れている様子です。
現に近年、登山道と平行して新しい林道が造られ、
なんと鮭川村から酒田市(旧平田町だが)に直接自動車で乗り入れできるようになっていました。


峠周辺は何かと見所が多いのと、平田町側の探索がまだなので、
近々また行ってみる予定です。
それにしてもこんな場所が山形にあったとは!