「メタルギア」シリーズが「ステルスゲーム」の語を広めるはるか以前から、隠れることを旨とするゲームはプロアマの別なく、ぼちぼち登場していたようにおもいます。打ち込み派ゲーマーにはベーマガの名/迷作「万引き少年ゲーム」が最も有名でしょうか。
そして「メタルギア」に先駆けること3年。我らがMSXにも「元祖ステルスゲーム」が出現していました(おい)。今回ご紹介するのは例によって「アクションゲーム38」収録作品から。「バンク・パニック」です。
一言で言えば本作は銀行強盗ゲームです。プレイヤーは強盗。画面内に建ち並ぶ銀行に押し入り、強盗を繰り返して廻ります。ただし銀行には1から24までの番号が振られてあり、この順番に従って強盗しなければなりません。順番を守らないと減点のペナルティあり。律儀ですな。
例によって街中にはパトカーが巡回しています。これに「見つかると」ミスです。
ここがよくできているんですが、通常この手のゲームでは「接触」するとミスになるものです。ところが本作では「接触」するのではなく、パトカーから見える範囲に近づくとミスになります。ですのでプレイヤーはパトカーから逃げるのみならず、その目に付かないよう、建物の陰や入り口に身を潜めながら行動しなければなりません。このゲームシステムがまさにステルスゲームそのもので、本作を単なる追いかけゲームとはひと味異なるものにしています。
とはいえ他の収録作品同様、それ以外は粗だらけ(おい)。やられたときはいきなりスタート地点に戻されます。やられた!みたいな効果音もなければ*1、「OOPS!」といったメッセージも表示されないので、何が起こったかわからずとまどいます。全体的に「区切り」が判りづらいのはどうだかなぁとおもいます。
それと銀行の軒数が多すぎて、中だるみを感じることも。キャラが小さくてチマチマしたり、操作性があまり良くないのもいただけないところです。銀行の数を減らしてその分キャラクターを大きくすれば、もっと感触が良くなるんでないかとおもいました*2。
ゲーム自体が荒削りなのは、飽くまでアイディアをラフスケッチしたようなゲームだから。問題は残るものの、やはりアイディアとその実装がよくできているので、今なお感心させられます。